「警察の日」に当たる今月21日夜、仁川市中心部で暴力団員らが、警察官の目の前で流血の事態を繰り広げた。暴力団員らのうち一人は刃物で刺され重傷を負った。
21日夜、警察に「仁川市南洞区九月洞のキル病院葬祭場に暴力団員が集まり、大声を上げている」という通報が数回寄せられた。そこで、仁川南洞警察署の刑事5人が現場に出動し、暴力団員らの動きを観察した。葬祭場には、交通事故で死亡した組員の妻を弔問するため、暴力団「クラウン派」の組員約100人が集まっていた。
午後11時50分ごろ、警察官たちが動向を見守っていた葬祭場の隣で、暴力団「新三角派」の組員K容疑者(34)が、同派からクラウン派に移籍したL組員(34)の左肩や内ももを刃物で2、3回切り付けた。
クラウン派の組員らは、L組員がけがをしたとの知らせを受け興奮した様子で、葬祭場の外に続々と出てきた。一方、新三角派の組員約30人も知らせを受けて現場に駆けつけ、両組織がにらみ合う状況がしばらく続いた。
警察の機動隊や防犯巡察隊など約70人が現場に出動し、両組織の組員らに解散を命じ、騒ぎは収まった。
新三角派は仁川市南洞区の風俗街・間石洞を、クラウン派は同市延寿区一帯を拠点に活動しており、これまで両組織による縄張り争いはなかった。両組織は歴史が浅いため、構成員に関する正確な統計もなく、管理の対象にもなっていなかった、と警察は説明した。
だが、警察の生ぬるい対応が原因で流血の事態が発生した、と指摘する声が出ている。
警察の関係者は「暴力団員らが弔問のために集まったというだけでは、検挙するだけの法的な根拠に欠けるため、刑事5人が現場で動向を注視していた。そのとき突然、一人の男が刃物で相手を切り付けたため、防ぐことはできない状況だった」と話した。警察は、刃物を使用したK容疑者に対し逮捕状を請求するとともに、監視カメラの画像を分析し、犯行に加担した他の組員を割り出す方針だ。一方、警察庁は、今回の事態に対して適切な対処ができなかった責任を問い、南洞署のアン・ヨンス署長を解任するとともに、刑事課長と強力(凶悪犯罪担当)課長、庶務室長、所轄の地区隊(日本の交番に相当)署長に対し重い懲戒処分を下す方針を固めた。