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森内、被災地に勇気 54年ぶりの完全試合 都市対抗野球
 | 三菱重工横浜を相手に54年ぶりの完全試合を達成し、捕手の高橋と抱き合って喜ぶJR東日本東北・森内 |
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都市対抗野球大会第3日は24日、京セラドーム大阪で1回戦が行われ、東北地区のJR東日本東北(仙台市)が森内寿春投手の大会史上54年ぶり2人目となる完全試合で三菱重工横浜(横浜市)を4―0で下し、2回戦に進んだ。
JR東日本(東京都)は富士重工(太田市)に1―0で勝利。ヤマハ(浜松市)は延長十二回タイブレークの末にパナソニック(門真市)を7―2で破り、ともに2回戦進出。JR東日本東北は29日に室蘭シャークス(室蘭市)―西濃運輸(大垣市)の勝者と対戦する。
◎8回、一気に4得点
▽1回戦 三菱重工横浜(横浜市) 000000000=0 JR東日本東北(仙台市) 00000004×=4 ▽勝 森内 ▽敗 亀川 ▽三塁打 近藤 ▽二塁打 金野、妻沼 ▽失策 高安 ▽試合時間 1時間57分 【評】JR東日本東北は森内が完全試合を達成。切れのある直球を軸に、低めへの変化球も効果的に織り交ぜて12三振を奪った。バックも要所での好守でもり立てた。打線は七回まで無安打に抑えられていたが、八回に金野の二塁打を足掛かりに無死一、三塁とし、妻沼の適時二塁打で先制。さらに藤井の左前打、近藤の三塁打で3点を加えた。
◎54年ぶり、2人目の完全試合/震災経験し精神面成長
平常心を心掛けていたJR東日本東北の森内に笑みがはじけた。27人目の打者村山から12個目の三振を奪うと、約3000人の応援団が総立ちに。完全試合の偉業を達成した右腕は「被災地に勇気を与えられる一勝になった。震災があってもやれると証明できた」と歓喜に浸った。 味方の好守にも支えられ、140キロ台の直球とチェンジアップがさえた。ソフトバンクで活躍するOBの摂津を参考にした投球フォームで制球力は抜群。ポーカーフェースも先輩を見習った。「エースたる者、相手に弱みは見せない」と心掛ける。 以前は取り組みの甘さが目立ち、藤井監督から「このままでは東北のお山の大将」と言われてきた。転機は東日本大震災。地震発生後2カ月間は練習ができず、塩釜市のJR本塩釜駅の掃除や代行バスの案内に従事。厳しい被災現場を目にし、泊まり勤務が続く中の自主トレで「体はきつくても、野球をしているときだけは面白かった」と野球の魅力を再確認した。 チーム練習再開後は「練習をやらされるというのがなくなった。大事に野球をやろうと思えるようになった」と言う。藤井監督も「練習から一球を大事にし、精神的に大きくなった。全国区の投手になってほしい」と、被災地に朗報を届けた右腕に目を細めた。
2011年10月25日火曜日
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