総合製紙大手・大王製紙の井川意高(もとたか)元会長(47)=9月に辞任=による巨額借り入れ問題で、元会長が4月、父親の高雄顧問(74)から叱責され、約20億円を子会社側に返済していたことが同社関係者の話で分かった。元会長は2カ月後の6月、社長から会長に就任したが、取締役会では巨額の借入金は問題視されなかったという。
顧問は24日、毎日新聞の取材に「元会長の借り入れ問題は、3月の時点において大王製紙の取締役らも知っていた」と文書で回答した。同社は、内部通報があった9月に問題を把握し、調査を開始したと説明しており、認識の食い違いが浮上した。
また、同社の特別調査委員会に対し、子会社側が「元会長の指示のままに貸し付けていた」と答えていたことも判明。特別調査委は、問題の背景にオーナー企業特有の甘い体質があったとみて、詰めの調査を進めている。
同社や関係者によると、元会長は子会社7社から9月までに計83億5000万円を無担保で借り入れた。これとは別に、子会社数社から10年度に約22億5000万円を、顧問が代表取締役を務める関連会社「エリエール商工」(香川県)を迂回(うかい)する形で個人口座に入金させたという。
だが、顧問は今年3月ごろ、この迂回融資を把握し、元会長の株で弁償するよう叱責。元会長は個人で所有する大王製紙以外の株を現金化して約20億円を返済したという。
顧問は大王製紙創業者の長男で、社長や会長を歴任し、現在も社内に強い影響力を持つとされる。取材に対し顧問は「元会長個人の問題」としつつも、「父親として深く道義的責任を感じている」と文書で答えた。
同社は特別調査委が今月中にまとめる報告書を受けた上で、刑事告訴を検討している。
東京地検特捜部も会社法違反(特別背任)の疑いがあるとみて、同社側が任意提出した資料などを慎重に調べている模様だ。
毎日新聞 2011年10月25日 2時36分