'11/10/25
鞆計画4案提示に期待や不満
「やっと前進」「堂々巡り」―。福山市鞆町の鞆港埋め立て・架橋計画で、広島県が町中心部の混雑解消を目指すバイパスの工法4案を鞆地区地域振興住民協議会で示して一夜明けた24日、住民や観光客から議論の進展への期待の一方、戸惑いや不満の声も漏れた。
「架橋ありきから議論が変わった。バイパスは必要だが、景観や自然も考えて作るべきだ」。同町の60代無職男性は、潮目の変化を歓迎する。
4案は、現行の埋め立て・架橋計画、海底トンネル、町中心部をう回する2種類の山側トンネル。県は4案を併記した資料で、景観への影響や市中心部への時間短縮などを比較した。
海底トンネルと山側トンネルは、県と市が過去に検討した経緯がある。同町の鉄鋼業男性(74)は「同じ問題をぐるぐる巡って、全然進んでいない。県は一度決めた架橋を明日からでも進めて」といらだちを募らせる。
県は時間短縮に配慮し、山側トンネル2案の出入り口をいずれも過去の案に比べて町中心部に近づけた。しかし、2案とも同町の20〜10戸の家屋移転が必要だ。移転対象の可能性がある同町平地区の自営業男性(65)は「過去の道路港湾整備で立ち退いた住民もいる。これ以上の移転は、町に混乱を引き起こす」と不信感を募らせる。
2009年10月の埋め立て免許差し止め訴訟判決は鞆町の全国的知名度を上げ、観光客の関心も高い。千葉県柏市から訪れた音楽家男性(28)は「住民が守ってきた鞆港の景色を失わないよう、埋め立てしない方法を考えてほしい」と望む。
【写真説明】車で混雑する県道の端を注意しながら歩く観光客(福山市鞆町)