22日午前6時40分ごろ、名古屋市名東区引山3丁目の市営住宅に住む無職、服部友己(ゆき)さん(38)から「長男が倒れたまま動かない」と119番があった。長男の市立香流中2年、昌己(まさき)君(14)が病院に運ばれたが、間もなく死亡した。
服部さんの交際相手の男が暴行を認めたことから、名東署は傷害容疑で男を逮捕。傷害致死容疑に切り替え、日常的な虐待があったとみて調べている。
同署によると、名古屋市守山区天子田の会社員、酒井秀志容疑者(37)。逮捕容疑は22日午前6時半ごろ、昌己君の胸辺りを3回程度蹴った疑い。
服部さんと昌己君は2人暮らしだが、酒井容疑者は日ごろから頻繁に出入りしていた。「勉強中にうたた寝をしたのに認めなかったのでカッとなってやった」と供述している。服部さんは就寝中で、酒井容疑者に「(昌己君が)動かなくなった」と言われて起こされたという。
事件を受け、名古屋市児童福祉センターが22日、記者会見し、中学校側から6月と7月に計3回、昌己君があざを作って登校、「虐待を受けたようだ」と連絡がありながら、情報を生かせなかったことを明らかにした。6月の2回は酒井容疑者が「言葉遣いなどにカッとなって殴った」と認めたという。
7月には、昌己君の祖母が「(昌己君の)小学6年の弟が、娘と交際中の男に虐待され、自分が預かっている」と愛知県警瑞穂署に相談、県警から連絡を受けた同センターが、学校への調査や家庭訪問をしたが、昌己君への虐待は確認できなかったという。
同センターによると、2008年9月に「(昌己君は)食事など養育環境に不十分な面がある」と地域住民から通報を受け問題を把握。これまでに約20回、家庭訪問や学校で面談などをしてきた。市の施設で2回、2週間〜1カ月間、一時保護したこともあった。
(紙面から)