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名古屋・名東区の中2暴行死:母証言、昨年6月から暴行 酒井容疑者「しつけ」

 名古屋市名東区引山の中学2年、服部昌己君(14)が自宅で暴行を受けて死亡した事件で、昌己君の母友己さん(38)が23日、毎日新聞の取材に応じた。傷害容疑で逮捕された交際相手の酒井秀志容疑者(37)が10年6月から、「しつけ」を理由にたびたび昌己君に暴行していたことを明かした。現在別居中の次男(12)にも当時、同様に暴行していたという。愛知県警の司法解剖によると、昌己君は胸、背中、腕、首に内出血があった。

 友己さんは自宅で取材に応じた。酒井容疑者が殴った冷蔵庫はベコベコにへこみ、木製の食器棚には幾つも穴が開くなど、室内は荒れた様子だった。

 友己さんによると、6年前に酒井容疑者に声をかけられたのを機に交際を始めた。3年前から友己さんに暴力を振るうようになったが、当時は昌己君と次男は祖母に預けていた。10年6月に子供2人も一緒に暮らすようになり、酒井容疑者は「しつけのための暴力はやむを得ない」と主張。次男は4カ月もすると「怖い」といって祖母宅に戻った。酒井容疑者の昌己君への暴力は「私が『たたかないで』と言っても聞き入れてもらえない時もあった」という。

 酒井容疑者は、昌己君の言葉遣いに怒ったり、うそをついたととがめて暴行を重ねたという。昌己君は暴行されながら「ごめんなさい。僕が悪かったです」と謝り、けがをしても「病院に行きたくない。大丈夫」と言っていた。

 友己さんは、児童相談所に相談しなかったことについて「酒井容疑者がいたから(相談が)できなかった。(酒井容疑者を)好きだったので『家に来ないで』とも言えなかった」と説明。「悔やんでいる。私が真剣にとらえることができなかった。昌己を返してほしい」と心境を述べた。

 愛知県警名東署は23日、酒井容疑者を傷害致死容疑で名古屋地検に送検した。司法解剖で昌己君の死因は特定できなかったという。【沢田勇】

 ◇保護せぬ根拠、全く分からぬ--NPO理事長

 名古屋市児童福祉センター(児童相談所)が6月以降、計5回の通報を受けながら保護に乗り出さなかったことについて、NPO法人「CAPNA(子どもの虐待防止ネットワーク・あいち)」の高橋昌久理事長は「根拠が全く分からない」と批判する。「虐待被害者は100回ひどい目に遭っても、加害者との1回の良い思い出をもう一度味わいたいと願う。そんな被害者が加害者のことを悪く言うことはまずない」といい、「逃げることもできたはずの中学生が虐待死してしまった事実を児相はもっと重く受け止めるべきだ」と指摘する。

毎日新聞 2011年10月24日 中部朝刊

 
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