いりゃあせ名古屋

社会・スポーツ

文字サイズ変更

名古屋・名東区の中2暴行死:日常的に虐待か 6月から児相に通報5回

 名古屋市名東区引山の中学2年、服部昌己君(14)が自宅で暴行を受けて死亡した事件で、昌己君が通っていた中学校などが6月以降、市児童福祉センター(児童相談所)に「暴行を受けているのでは」などと計5回通報していたことが22日分かった。センターは今月14日の家庭訪問で「虐待を疑う要素はない」と判断したといい、事件を受け「力が足りなかった」と謝罪。愛知県警名東署は傷害容疑で逮捕した、母友己さん(38)の交際相手の酒井秀志容疑者(37)=同市守山区=が、日常的に昌己君を虐待していたとみて調べている。【岡大介、沢田勇】

 22日会見した同センターによると、最初の通報は6月8日で、昌己君が当時通っていた市立田光中学校(同市瑞穂区)から「昌己君が左頬にけがをし、酒井容疑者が暴行を認めた」との内容だった。

 同校はその6日後も暴行を疑い通報。センター職員が昌己君の自宅を家庭訪問したところ、酒井容疑者は「言葉遣いが悪くカッとなって殴った。しつけのつもりだった」と話したという。同19日も近所の人から「虐待されているのではないか」と通報があった。

 同校は7月にも昌己君の額のけがを通報したが、同センターの家庭訪問に友己さんは「(昌己君が)転んで階段の手すりにぶつけた」と話したという。最後の通報は今月11日の親族の知人からのもので、センターは同14日の家庭訪問で「虐待を疑う要素はない」と判断した。

 同センターの羽根祥充主幹は会見で「酒井容疑者も反省している様子で、指導はうまくいっていると思っていた。援助の力が足りなかった」と謝罪した。

 同センターは09年8月と今年1月に「家庭の養育環境が不十分」などとして、昌己君を2週間~1カ月、一時保護していた。

 捜査関係者によると酒井容疑者は友己さんにも暴行し、10年7月、友己さんから県警瑞穂署に「酒井容疑者に腕を殴られた。別れたい」と通報があった。

 ◇前夜怒鳴る声--近隣住民

 服部友己さんと長男昌己君は10月初め、名古屋市瑞穂区から同市名東区に転居した。昌己君が今月3日から通っていた市立香流中学校の高山博之校長によると、昌己君は複数の教諭に「勉強を教えてください」と自主的に補習を申し込み、授業後に英語や理科、社会などを熱心に学んでいたという。2年生の学年主任の男性教諭は「いつも笑顔が印象的で怒ったところは見たこともない。残念で仕方がない」と話した。

 愛知県警によると、酒井容疑者は服部さん方に出入りし、事件前日の21日も泊まりにきていた。服部さんが住む市営住宅の上階の30代男性によると、21日午後6時半ごろ「バカヤロー」と大声で怒鳴る男の声が聞こえた。事件直前の22日午前6時ごろにも階下から「ドンドン」という音が響いてきたという。【稲垣衆史、沢田勇】

毎日新聞 2011年10月23日 中部朝刊

 
地域体験イベント検索

おすすめ情報

注目ブランド

特集企画

東海大学を知る「東海イズム」とは?

東海大学の最先端研究や学内の取り組みを紹介