2011/10/5
「時近ければなり その22」
原始キリスト教世界
外典のヨハネの黙示録(1)
[解説]
不明。
[底本]
TLG 1158
APOCALYPSIS JOANNIS
(A.D. 2?)
1 1
1158 001
Apocalypsis apocrypha Joannis, ed. C. Tischendorf, Apocalypses
apocryphae. Leipzig: Mendelssohn, 1866: 70-93.
(Cod: 2,961: Apocalyp., Apocryph.)
外典のヨハネの黙示録
"t"
ヨハネの黙示録
「神-言(ロゴス)」論者・聖イオーアンネースの黙示録
第1章
わたしたちの主イエースウス・クリストスの復活(analepsis)の後、わたしイオーアンネースはタボール山にいた、そこにおいて、その生粋の神性(theotes)をわたしたちに教示なさった、そのためわたしは立っていることができず、地面に身を投げ出して主に祈って云った。
「主よわが神よ、わたしがあなたの奴隷となることを認めてくださった方よ、わたしの声をお聞きくださり、あなたの臨在(eleusis)をわたしにお教えください。将来、この地上にやってこられるとき、何が起こることになるのでしょうか? 天と地と太陽と月は、その時期にはどういうことになるのでしょうか? わたしにすべてを闡明してください。あなたの奴隷に耳を傾けてくださるなら、わたしは心強いでしょう。
第2章
そして7日間、わたしは祈りつづけた、するとその後、光り輝く雲がわたしを山から引っさらい、わたしを天の前に立たせた、すると声がわたしに言うのを聞いた。
「見上げよ、わが奴隷イオーアンネースよ、そして知れ」。
そこで見上げてわたしは天が開いているのを見た、すると天の内側から薫香の数々のよい香りのする匂いが漂ってきて、太陽よりも光輝にみちたすこぶる多数の光の奔流を見た。
第3章
すると再び声がわたしに言うのを聞いた。
「観よ、義人イオーアンネースよ」。
そこで眼を上げた、そして本があるのを見た、わたしのみるところ、その厚さは山7つ分あった。しかしその1辺は、人間どもの理性では把握できず、7つの封印を有していた。そこでわたしは云った。
「主よわが神よ、この本の中には何が書かれているのか、わたしに闡明してください。
第4章
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。おまえが眼にしたこの書物は、天上のこと、地上のこと、底なしの深淵のこと、そしてあらゆる人間的自然の裁き(krimata)と正義が書かれている」。
第5章
そこでわたしは云った。
「主よ、それが起こるのはいつになるのですが、その時節はいったい何が違うのですか?」。
すると声がわたしに言うのが聞こえた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。その時(kairos)には食い物と飲み物との満足が生じることになろう、それは、かつてこの地上にあったことがなく、これからもあの時節がやってくるまではけっしてあることのないような〔満足である〕。そのとき、穀物の穂は半コイニクス〔の稔り〕を生じ、〔ブドウの〕若枝の腕も千粒を生じ、一粒が半スタムノスの葡萄酒を生じる。しかしそれ以後の年は、全地の面に半コイニクスの穀物も見つけられず、半スタムノスの葡萄酒も見つけられない」。
第6章
そこで再びわたしが云った。
「主よ、そのときから何をなさるおつもりですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき現れるのが、否定者(arnetes)、つまり、闇の中に追い払われていた者、いわゆるアンティクリストスである」。 そこで再びわたしは云った。
「主よ、それはどんな者か、わたしに闡明してください」。
第7章
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「彼の面相は暗い色をしている、彼の頭の毛は矢のように鋭く、彼の眉毛は野人のそれのごとく、彼の右の眼は夜明けに昇る星のごとく、もう片方の眼はライオンのそれのよう、彼の口は1ペーキュスほどあり、彼の歯は数スピタメーあり、彼の指は鎌のごとく、彼の足跡は2スピタメーある、そして彼の額にはアンティクリストスという文字がある。天に届くほど高くのぼり、冥府に届くほど降るであろう、種々の偽りの幻影を見せながら。そのときこそ、天を青銅となそう、大地に露を与えないために。そして隠された諸々の場所に雲たちを隠そう、地上に露をもたらさないために。そして風たちの角を制止しよう、地上に風が吹かぬように」。
第8章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、いったいどれほどの年数、その者は地上ですごすのですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。その時節は3年間続くであろう、ただし、3年を3カ月とし、3カ月を3週間とし、3週間を3日とし、3日を3刻限とし、3刻限を3刹那にわたしがしよう、預言者ダウイデが云ったとおりに。『彼の王座をあなたは地に投げ捨て、彼の時代の日々を縮め、彼を恥で覆われた』〔詩篇(七十人訳)88_45-46〕と。そのときこそ、彼を非難するために、エノークとヘーリアを遣わそう、そうすれば、彼を嘘つき、ペテン師だと彼らは証明しよう、だが、〔アンティクリストスは〕彼らを供犠の祭壇の上に引きずりあげるであろう、預言者が云ったとおりに。『そのとき、彼らは仔牛たちをあなたの生贄の祭壇に捧げるであろう』〔詩篇(七十人訳)50_21〕と」。
第9章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、そのときからいったい何が起こることになるのですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、すべての人間的自然は終わるであろう、そして全地の上に生きた人間はいないであろう」。
そこで再びわたしは云った。
「主よ、そのときからあなたは何をなさるおつもりですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、わたしの天使たちを遣わそう、そうして彼らは雲の上にある破城槌(krios)の角を持ち上げ、天から繰り出し、ミカエールとガブリエールはあの角笛を吹き鳴らすであろう、預言者ダウイデが予言したとおり、『角でできたラッパの音で』〔詩篇(七十人訳)97_6〕。そしてラッパの音はひとの住まいする地の果てから果てまで聞かされることになろう。そしてそのラッパの音によって、全地が揺すぶられるであろう、預言者が予言したとおりに、そうしてすべての草は『雀の声によって起ちあがる』〔伝道の書12_4〕、すなわち、すべての人間的自然は天使長の声によって甦るであろう」。
第10章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、アダムから今日までに死んだ者たち、また、永遠の〔昔〕から冥府に住んでいる者たちや、永遠の終末までに死ぬ者たちは、どれくらい甦るのですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。すべての人間的自然は30年間甦るであろう」。
第11章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、雄と雌が命終し、他には年寄りたちも、他には若者たちも、他には幼児たちも〔命終する〕。甦りの際には、どれくらい甦るのですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。例えば、蜜蜂たちがおり、1匹は1匹と異なるところなく、すべてがひとつの種類、ひとつの年齢に属しているように、甦りの際にも、人間はすべて同様であろう。黄色も赤色も黒色もないばかりか、アイティオピア人とか異なった顔とかもない。いやそれどころか、全員がひとつの種類、ひとつの年齢に属して甦るであろう。すべての人間的自然が身体なきものとして甦るであろう、あなたがたにわたしが云ったとおりである、甦りの際には、娶ることもなく、嫁ぐこともない、神の天使たちのようになるのみ、と〔マタイ22_30、マルコ12_25、ルカ20_35〕」。
第12章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、その世界では、お互いを認知しあうことができるのですか、兄弟が兄弟を、あるいは友が友を、あるいは父が自分の生子を、あるいは子らが自分の両親を?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、イオーアンネースよ。義人たちには同認(gnorismos)が生じる、しかし罪人たちには断じて〔生じない〕、甦りの際にもお互いを認知しあうことはできない」。
そこで再びわたしイオーアンネースは云った。
「主よ、そこでは、野生のものとか、葡萄の木とか、あるいはほかにこの世にあることとか、そういったものの考え(enthymesis)はあるのですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。預言者ダウイデが主張してこう言っている。『われは記憶せり、われら土塊なることを。人間は、その日々が青草のよう。野の花のように、そのように咲くであろう、風がその中をよぎると、〔それは〕なくなり、その場所をもはや気づくこともない』〔詩篇(七十人訳)102_14-16〕さらに、同じ人が続けて云った。『彼の霊(pneuma)は出て行き、おのが土に還る。その日、彼の諸々の企て(dialogismos)はみな滅びる』〔詩篇(七十人訳)145_4〕」。
第13章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、わたしの天使たちを全地の面に遣わそう、そうして彼らは大地から取りあげるであろう、あらゆる輝かしいもの、あらゆる貴いものを、さらに7つの聖なる似像を、さらに輝かしく貴い十字架〔複数〕を、さらに諸々の教会の聖なるものらを、さらに神的で聖なる書物〔複数〕を。そうして、貴く聖なるすべてのものが雲たちによって天空に引き上げられよう。そのときこそ、大いなる神厳の王笏――それによってわたしの両手を広げた――が引き上げられるようわたしは命じよう、すると、わたしの天使たちの部隊すべてがこれを礼拝するであろう。そのときこそ、すべての人間的自然は雲上に上げられるだろう、使徒パウロスが予言したとおりに。『わたしたちは彼ら〔キリストにあって死んだ人々〕とともに雲に包まれてさらいゆかれるでろう、天空で主と出会うために』〔テサロニケ人への第1の手紙4章17〕。そのときこそ、すべての邪悪な霊は、地上のも、底なしの深淵のも、どこであれ、太陽の昇る方角から沈む方角にいたるまで、全地の面にあるものが出てくる、そうして、悪魔から〔差し向けられてこれに〕仕えた者、あるいはアンティクリストスにすがりつき、そして雲たちの上に引き上げられるであろう」。
第14章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、わたしの天使たちを全地の面に遣わそう、すると彼らは大地を8千5百ペーキュス焼きつくし、大きな山々も焼きつくされ、すべての岩々も熔解させられて塵のごとくになるであろう、また焼きつくされるであろう、すべての森も、家畜も、地を這うすべての爬虫類も、地の面を腹這いゆくすべてのものも、また空を飛ぶすべての鳥類も、そして震われるようなものは全地の面にもはやなく、大地は不動となるであろう」。
第15章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、日の出の方角の4つの部分を啓こう、すると大きな4つの風たちが出てきて、大地の果てから果てまで、大地の面にあるものをすべて吹き分けるであろう。そうして主は大地から罪を吹き分け、大地は雪のように白くなり、紙のようになり、洞穴とか山とか丘陵とか岩とかをもたず、大地の面は、日の出の方角から日没の方角まで、卓のようになり、雪のように白くなるであろう。そして大地の腎臓は焼かれ、わたしに向かってこう言って叫ぶであろう。『わたしはあなたの御前に処女としています、主よ、わたしの内に罪はありません』。預言者ダウイデが予言したとおりである。『わたしをヒソプで清めてください、そうしたらわたしは清くなるでしょう、わたしを洗ってください、そうしたら雪よりも白くなるでしょう』〔詩篇(七十人訳)50_7〕。さらにまたこうも云っている。『すべての峡谷は埋められ、すべての山や丘陵も平らにされ、高低のあるものは平らとなり、でこぼこ道は平坦な道となり、すべての肉は神の救いを眼にしよう』〔イザヤ40_4〕」。
第16章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、大地は罪から清められ、全地は芳香に満たされるであろう、わたしが大地に降りて行くためである。そのときこそ、大いなる神厳の王笏が、これを礼拝する幾千もの天使たちを引き具して出てくる、わたしが予言したとおりに。『そのときこそ、人の子のしるしが、多大な軍勢と栄光をともなって、天から現れるであろう』〔マタイ24章30〕。そのときこそ、不正の遂行者(ergates)は、おのが従者ともども、これを観、歯の根もあわず、かくて不浄な霊はすべて敗走させられるであろう。そのときこそ、眼に見えぬ軍勢に制覇され、逃げこむところもなく、彼〔不正の遂行者?〕に対して歯を軋らせて彼に言うであろう。『あんたの軍勢はどこにいるのか? どうやってわれわれを惑わしたのか? われわれは持てる栄光から逃亡し脱落した、われわれとすべての人間的自然を裁くためにやってくる方のせいで。ああ、わざわいなるかな、われわれは、彼は外なる闇の中にわれわれを追い出すのだから』」。
第17章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「そのとき、天使を天から遣わそう、すると彼は大きな声でこう言って叫ぶだろう。『聞け、大地よ、そして強くなれ、主は言われる。すなわち、「おまえのところに降りて行く」と』。そうして天使の声はひとの住まいする地の果てから果てまで、底なし深淵の端まで聞こえることであろう。そのときこそ、天使たちと多目(polyommata)の軍勢はすべて揺すぶられ、諸天に大きな騒音が起こるであろう、そうして天の9つの葉がゆすぶられ、天使たち全員のうえに恐怖と茫然自失状態が生じよう。そのときこそ、諸天は太陽の昇る方角から日没の方角にいたるまで引き裂かれ、大地に数知れぬ天使たちの大群が降りて来るだろう、そのときこそ、諸天の宝物庫が開き、あらゆる貴きもの、薫香の薫りさえも降ってくる、そしてヒエルウサレームを、装いを凝らした雲のように彼らは地上に運び下ろしてくる。そのときこそ、わたしの前を幾万の天使たちと天使長たちが行進するであろう、わたしの王座を運びながら、こう叫びながら。『聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍(Sabaoth)の主は。天と地はあなたの栄光に満たされた』。そのときこそ、わたしは軍勢と多大な栄光をともなって繰り出そう、そしてすべての眼は群雲の上にわたしを眼にするだろう、そのときこそ、天上の者・地上の者・地下のものらは膝まずくであろう。そのときこそ、天は空(から)となり、わたしは地上に降りて行き、天空にあるすべてのものは地上に運び下ろされ、すべての人間的自然と、アンティクリストスとともなるすべての邪悪なる霊は、裸のまま、首をねじ曲げられて、すべてがわたしの前に立たされるであろう」。
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第18章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、諸天と太陽と、星々とともに月は、どうなるのでしょうか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「観よ、義人イオーアンネースよ」。
そこで見つめて、7つの眼と7つの角をもった子羊を見た。すると声がわたしに言うのを聞いた。
「この子羊が前にやってくるよう命じよう、そして云おう。『この書を開くのは誰か?』。そうすれば、天使たちの全大軍が答えるであろう。『この書を子羊に与えてください、これを開くために』。そこでそのときにこの書が開かれるよう命じよう。
第19章
そして〔子羊が〕第1の封印を開くとき、天の星々が端から端まで落ちるであろう。そして第2の封印を開くとき、月は隠され、それに光はないであろう。そして第3の封印を開くとき、太陽の光は途切れ、地上に光はないであろう。そして第4の封印を開くとき、諸天は崩壊し、大気は形なしとなろう、預言者が主張するとおりである。『諸天もあなたの両手の業(erga)である。それらは破滅するが、あなたはいつまでもとどまる、そしてすべてのもらは着物のように古びるであろう』〔ヘブル人への手紙1_10-11〕。そして第5の封印を開くとき、大地は裂け、すべての法廷は全地の面に闡明されるであろう。そして第6の封印を開くとき、海の三分の二はなくなるであろう。そして第7の封印を開くとき、冥府があらわとなるであろう」。
第20章
そこでわたしは云った。
「主よ、最初に尋問され、裁きを受けるのは誰々になるのですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「アンティクリストスと、その一統の不浄の魂たちである。彼らが外なる闇の中に入るようわたしは命じよう、そこには地下水がある」。
そこでわたしは云った。
「主よ、そこはいったいどんな場所ですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。ひとが石を30年間転がし、下方の深みの方に放し、それが20年間滑落し続けても、それは冥府の底に達することはない。預言者ダウイデが予言したとおりである。『闇を自分の覆いとした』〔詩篇(七十人訳)17_11〕と」。
第21章
そこでわたしは云った。
「主よ、彼らからは、いったいどんな民(glossa)〔複数〕が尋問されることになるのですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。尋問されるのは、アダム以来のあの民(glossa)〔複数〕と異教徒(Hellenismos)、また、偶像や太陽や星々を信じたようなものら、また、異端によって信仰をけがしたようなものら、また、聖なる甦りを信じないものら、また、父と子と聖霊を告白しなかったようなものらである。そのとき、彼らを冥府に送りこもう、預言者ダウイデが予言したとおりに。『罪人たち、神を忘れた族民たちはみな、冥府に下って行く』〔詩篇(七十人訳)9_18〕。さらにまた同じ人が云っている。『羊が冥府に定められたように、死が彼らを牧する』〔詩篇(七十人訳)48_15〕」。
第22章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、彼らからは、いったいどれくらいの者たちを裁くおつもりですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、ヘブライ人たちの種族が尋問されるであろう、わたしをば悪人のごとくに木〔=十字架〕に釘付けしたゆえに」。
そこでわたしは云った。
「いったい彼らはどんな懲罰を、また、どんな場所で受けることになるのですか、そんなことをあなたにしたせいで?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「彼らは奈落のなかで破滅するだろう、預言者ダウイデが予言したとおりに。『彼らは助けを求めた、しかし救う者はなく、主に向かって〔叫んだ〕が、〔主は〕彼らに耳を傾けられなかった』〔詩篇(七十人訳)17_42〕。さらにまた使徒パウロスも云っている。『律法なしに(anomos)罪を犯した者は律法なし(anomos)にまた滅びる、律法のもとで罪を犯した者は律法によって裁かれよう』〔ローマ人への手紙2_12〕」。
第23章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、洗礼を受けた者たちはいったいどうなるのですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「そのとき、キリスト者たちの種族、洗礼を受けた者たちは尋問されよう、そのときこそ、義しい者たちはわたしの承諾によって進み、天使たちも前進し、彼ら〔義人たち〕を罪人たちから〔分かって、罪人たちの〕上に積み重ねるであろう、預言者ダウイデが予言したとおりである、主は罪人たちの杖(rhabdos)が義しい人たちの相続地にとどまることを許したまわず〔詩篇(七十人訳)124_3〕と、そして、義しき者たちはみなわたしの右に立たされ、太陽のように輝くであろう。それは、イオーアンネースよ、天の星々をあなたが見るとおりである、つまり、全体はいっしょであるが、しかし光は異なる、義人たちと罪人たちもそのようになるだろう。なぜなら、義人たちは発光体(phosrer)のように、つまり太陽のように輝くが、罪人たちは暗黒のままとどまるであろうから」。
第24章
そこでわたしは云った。
「主よ、キリスト者たちもみなひとつの懲罰を受けるのでしょうか? 王たち、大祭司たち、祭司たち、族長たち、金持ちと貧乏人、奴隷と自由人たちはどうですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。預言者ダウイデが予言したとおりである、『貧しい者たちの堅忍(hypomone)は最後まで滅びることはない』〔詩篇(七十人訳)9_19〕と。しかし、王たちについては、人足奴隷のように追いたてられ、幼児のように泣き叫ぶであろう。族長たちや祭司たちや罪を犯したレビ人たちについては、各人おのおのの躓きかたに応じて、懲罰の中に散らされるであろう、ある者たちは火の河に、ある者たちは不眠の蛆虫のなかに、他の者たちは懲罰の七口井戸のなかに。罪人たちはこのような懲罰によってひきさかれるであろう」。
第25章
そこでわたしは云った。
「主よ、義人たちはいったいどこに囲われることになるのですか?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「そのとき、楽園があらわとなり、世界は全一となって楽園はひとつとなり、義人たちは全地の面に、わたしの天使たちといっしょに、あるであろう、聖霊が預言者ダウイデを通して予言したとおりに。『だが義しい者たちは大地を嗣ぐであろう』〔詩篇(七十人訳)36章_9〕、そして永遠の永遠にいたるまでその上で幕営するであろう」。
第26章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、天使たちの大群はどれくらいですか? もっと多いものがあるのですか、天使たちや人間たちよりも?」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「天使たちの大群は、人間たちの種族と同じくらいである、預言者が云ったとおりである。『神の天使たちの数に照らして境界が定められよう』〔申命記32_8、雅歌2_8〕」。
第27章
そこで再びわたしは云った。
「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか? いったい世界はどういうふうになるのですか? すべてをわたしに啓示してください」。
すると声がわたしに言うのを聞いた。
「聞け、義人イオーアンネースよ。そのときから労苦はなく、苦痛はなく、歎息はなく、遺恨はなく、涙はなく、妬みはなく、兄弟に対する憎しみはなく、不正はなく、高慢はなく、悪口はなく、無慈悲はなく、生の思いわずらいはなく、両親や生子に対する苦労はなく、黄金に対する苦労はなく、邪悪な企てはなく、悪魔はなく、死はなく、夜はなくして、いつも昼である。わたしが予言しておいたとおりである。そして他の羊(probata)をわたしはもつ、〔その羊は〕この中庭からのではない、すなわち、その有徳の生き方からして天使たちの類似の人間たちである。それ〔ヒツジたち〕をもわたしは導かなくてはならない、そして彼らはわたしの声を聞き、ひとつの群、ひとりの牧者が生まれよう」。
第28章
さらに続けて声がわたしに言うのを聞いた。
「見よ、以上すべてのことをあなたは聞いた、義人イオーアンネースよ。同じことを信仰ある人間たちに述べ伝えよ、彼らがほかの者たちにも教え、そして、軽視しないように。ましてわたしたちの真珠をブタどもの前に投げ捨てないように、それを彼ら〔豚たち〕の足で踏みにじるようなことの決してないように」。
なおもわたしがその声を聞いているときに、雲がわたしを引き下ろし、タボール山にわたしをもどした。そしてこういう声がわたしのところに届いた。
「裁きを守る者たち、あらゆる時(kairos)において正義を為す者たちは浄福なるかな。また、この契約があるところ――その家は浄福なるかな、主が云ったとおりである、わたしを愛する者はわたしの言葉を守るであろう〔ヨハネ14章_24〕、わたしたちの主イエースウスのクリストスにおいて。栄光は永遠にそのかたのもの、アメーン。
外典のヨハネの黙示録(3)
外典のヨハネの黙示録(2)は翻訳不可能
[解説]
不明。
[底本]
TLG 1158 003
Apocalypsis apocrypha Joannis (versio tertia), ed. A. Vassiliev,
Anecdota Graeco-Byzantina, vol. 1. Moscow: Imperial University Press,
1893: 317-322.
5
(Cod: 1,916: Apocalyp., Apocryph.)
外典のヨハネの黙示録(第3の翻訳)
317."1t"
主の兄弟イアコーボスと、「神-言(ロゴス)」論者・聖イオーアンネースとの間の問いと答え。
主人よ、祝福したまえ。
「わたしたちに云ってください、「神-言(ロゴス)」論者イオーアンネースよ、人間たちの最後の日々について。魂は身体からどうのように去りゆくのですか、そして、わたしたちの主イエースウス・クリストスの第2の来臨まで、どこに住まうことになるのですか?」。
するとイオーアンネースが彼に向かって言う。
「お聞きなさい、イアコーボス。わたしたちの眼に見えぬ神の、魂が身体から離れるようにとの命令が出ると、最初から人間といっしょにいた天使がやってくる、また、火の両刃剣をおびた第1天使長ミカエールも、これら二人といっしょに、他に4人〔の天使たち〕も〔やって来る〕、そうして魂を身体から取りもどし、魂とともに墓まで身体の〔後から〕ついてゆき、祭司によって墓が封印されるまで、墓の内に立ち合う。そのときこそ、罪を犯した魂は激しく嘆いて言う。
『ああ、悲し、悲し! 力ある光を手放し、闇の中に、そこで生まれたものはいまだかつていないところに去りゆくとは。ああ悲し! わたしの友たちを手放し、かつて見たこともない土地に去りゆく。ああ、悲し、悲し! わたしの身体を手放したとは、それは総て屑にすぎない。とはいえ、それとともにかりそめの喜びを持っていたが、喜びや栄光が罪人にはないところ、そこにくだってゆくとは』。
そうして、その後、天使たちはそれ〔魂〕を引き取り、空にまでのぼってゆく、すると悪霊たちの、その全軍の部隊が、群雲のごとく、カラスのごとくに暗くなるが、〔天使たちは〕罪を犯した魂を絡めとって、次のように言う。
『祭司による自分たちの洗礼のおりに、おまえたちはわれわれを否認した、そしてまたもや自分の証印(sphragis)を否定し、われわれの意向を自分の身体なみに扱った』。
そのときこそ、天使長ミカエールの嘆きが生じ、幾千万の天使たちが集結する、焔の両刃剣と、貴く生を与える十字架とをおびて、そして悪霊たちの部隊は冥府の混沌(chaos)の中まで追い払われる。[318] そのときこそ、罪を犯した〔魂〕を火の河の中に連れくだり、火の河はその魂を受け取り、魂は諸々の強力な懲罰に燃えあがる。そして、魂は河を渡るとき暗くされて言う、『罪人たちによって惑わされ、諸々の責め苦を〔つかさどる〕この者たちにゆだねられ、いや、主よ!主よ! このような懲罰は、かつて見たことがありません』と。そしてそこに3日間とどまり、河の軋みと、責め苦の力(dynamis)を眼にする、そしてそれから、魂は天使たちによって去りゆき、四相の王座を礼拝し、天使たちは彼を不眠の蛆虫の中に連れ行き、その魂を、それが食う自由を持たないままに置き去りにする、主の第二の臨在まで。そうして罪を犯した魂は涙ながらに言う。
『われは罪人にして、悔い改めず、おのが責め苦に身をゆだねるとは! ああ、悲し、罪人にして愚かなるわれ、福音を聞かず、われらに証言しつづける祭司たちを嘲笑し、預言者たちのいうことを聞きながら、彼らを聞かざるかのごとくにふるまいしとは! ああ、悲し、罪人たるわれは! いや、主よ、主よ、このような責め苦に、かつて見たことはありません』。そしてそこに9日間とどまる、そしてそれから天使たちによって立ち去り、火の形した王座を礼拝し、〔天使たちは〕彼をあらゆる懲罰の中に連れゆく。そして万人から侮辱され、彼に向かって懲罰たちがわめく。
『さあ、こっちへ来い、もっとほかの懲罰にあたいするやつよ。おまえは光を拒み、闇を受け容れた。楽園の喜びを拒み、懲罰を受け容れた』。
そのときこそ、魂は涙を流しつつこう言って嘆く。
『ああ、悲し、罪人にして、諸々の罪に惑い、悔い改めなかったわれ!』。
そしてそこに魂は40日間とどまり、天使たちによって連れゆかれ、主の王座を礼拝する。そのとき神の御子を見る、すると天使たちと天使長たちは悲しんだ、魂が邪悪な天使たちもろとも永遠の懲罰の中にくだってゆくことを。というのも、邪悪な天使たちというものは存在せず、生まれることはなかったが、罪人たちの行為のせいで、天使たちも邪悪になり、諸々の懲罰の前に、永遠の時全体の間、懲罰を受けることになるところに、連れ行かれるのだ、そうして〔魂は〕懲罰を受けることになるところに、諸々の責め苦を眼にして言う。
『主よ、主よ、[319]天と地を作った方よ、第2の臨在はやってこず、わたしは自分の責め苦にゆだねられます』。
いや、このことをわたしは言うのだ、イアコーボス、神の愛する者よ、罪人たちが悔い改めないかぎり、神はこれに耳を傾けられないのだ」。
イアコーボスが彼に向かって言う。
「「神-言(ロゴス)」論者イオーアンネースよ、義人たちについてもわたしに知らせてください」。
「それでは、魂は自分の身体から離れるときに言う。
『(あなたに)感謝します、わが神、天の美しき王よ、土塊の身体から立ち去り、わたしは光り輝く者(photeinos)として現れ、分解されるのが相応しかったものは、地中に横たわっています。というのも、楽園の光の中に去りゆくのですから、祭司たちの言いつけに、まして聖なる福音の諸々の言葉に違背せずきましたから』。
そのときこそ、〔天使たちは〕彼を空に連れ行き、悪霊たちは彼を眼にして身を隠す、義人に対面するにあたいしないから、いやむしろ、彼を遠くから眼にして、嘆きに嘆き、〔こう〕言うからである。
『ああ、悲しいかな、われわれは、彼をただ眼にするにもあたいしないとは!』。
そして天使たちは彼を火の河の中に連れくだり、〔彼は〕鳩のように飛んで渡り、そこに魂は3日間とどまり、次のように言う。
『あなたに感謝します、主よ、けがされることなく懲罰を受けることなく、これらの責め苦を渡り終えられたことを』。
そして四相の王座を礼拝し、また天使たちは彼とともについて行き、彼を不眠の蛆虫の中に連れ行く、そのときこそ諸々の懲罰はわめく。
『わしらから離れろ、光り輝く魂よ、わしらに近づくな、わしらはあたいしないのだから』。
そのときこそ魂は言う。
『あなたに感謝します、主よ、責め苦そのものとわたしが無縁なことを』。
そうして、そこに9日間とどまる。そしてそれから天使たちによって連れ行かれ、四相の王座を礼拝し、天使たちは彼について行く、責め苦そのものに、これを見ることにさえあたいしないことに、歓喜歓喜踊躍しながら。そうしてそこに魂は40日とどまり、そのときになって再び連れ行かれ、四相の王座を礼拝し、そのときに神の御子を眼にする、そのときに父は御子とともに喜ぶ、また聖なる霊もすべての天使たちも、松明と数多の栄光をおびた天使長たちも〔喜ぶ〕、そして彼を楽園の前に連れ行き、〔彼は〕これから受けることになる自分の栄光を眼にして言う。[320]
『主よ、主よ、あなたの第2の来臨は間もない、わたしの栄光をわたしが受けるということは』。
そして、罪人たちと義人たちとの間には大きな裂け目があり、その裂け目の中には罪人たちを燃やす火がある、義人たちに対しては露があり、彼らを露でうるおすのである」。
すると彼にイアコーボスが言う。
「わたしたちに云ってください、神に祝福された奴隷、「神-言(ロゴス)」論者イオーアンネースよ、いったいどうすれば、すべての魂は救われることになるのですか、罪なき者は一人もいないからには?」。
すると彼にイオーアンネースが言う。
「聞きなさい、おお、イアコーボスよ、あなたがわたしに質問したその言葉は不愉快です。聖なる福音はわたしに証言している、100頭の羊(probata)を持っていて、(かりに)その中から1頭が迷子になったとしたら、99頭を山に放置して、失ったのを探しに行くのではないか、そしてそれを見つけて、これを自分の肩に乗せて運び、友たちや自分の兄弟たちのところにやってきて、言うのではないか、『わたしといっしょに喜んでくれ、わたしの見失った羊を見つけた』と。そういうふうに、たとえ誰かが罪に惑っても、再び回心して、自分の罪のすべてを告白して聖所に出てくるなら、そのとき彼の悪魔は教会の扉から冥府まで逃げ、言うであろう。
『ああ、悲しいかな、われは、わしの友を失った』。
そのときこそ、わたしたちの主イエースウス・クリストスは、彼を右手で受けとめ、自分の天使たちに言われる。
『わたしといっしょに喜んでくれ、見失っていた羊を見つけたことを』。
そうして、罪人の悔い改めに、大いなる喜びが天に地に起こる。たとえ告白を明日しようとしても、罪を捨てさえすれば、聖霊は、今日、彼の内に住まう。ひとが罪を犯せば、聖霊は彼から逃げ出し、彼がみずから夜と昼の影のようにし、苦悩にさいなまれるのは、彼の内にわたしたちの主も住んでおられるからである。預言者がこういって気の毒がっている。『少年だったわしも、年老いた、しかし知らぬ、義人が退けられ、その裔(sperma)までがパンをもとめるなどということは』〔詩篇(七十人訳)36_25〕。わたしイオーアンネースもこう言う、主イエースウス・クリストスはその第2の臨在のおりに気の毒がってくださるであろう、気の毒がってその魂を救ってくださる。あなたに例を示そう、だから、神の人間愛に絶望してはならぬ。〔???な〕事例を持たなくても、ペトロスを(見よ)、わたしたちの主イエースウス・クリストスを3度否みながら〔マタイ26_69-74参照〕、再び熱き涙によってすぐに許され、[321]熱き悔い改めによって天の鍵を持つ者となったということを。姦淫ならば、淫婦マリアを見よ、1703人の男たちにを相手に罪を犯したが、外国人はもとより同市民をさえ知ることをせず、心弱いこの女は熱き涙によって、自分のすべての罪をぬぐい去ったということを。人殺しにして熱く悔い改めた者ならば、マナッセースを見よ、自分の息子を偶像にして、供犠をなし、長老たち40人を殺し、ヘーサイアス〔イザヤ〕を鋸でひき殺した、しかるに、40日にいたるまで、呻吟と涙の熱き回心によって、深淵は充たされ、数多の罪から許されたということを。盗賊をも見よ、盗みや人殺し、みずからも99人の人殺しをなし、しかるに熱き信仰と大いなる助命の叫びによって、十字架のうえで、『わたしを思い出してください、主よ、あなたの王国で』〔ルカ23_40-43〕と云って、楽園を受けたということを。姦夫ならば、預言者ダウイデを見よ、ウウリアの妻ベールサベエを取り、他にも99人の女を手に入れたところの。しかし全霊をあげて預言者ナタンに告白し、火の両刃剣から身をかわして、神の父(theopator)として座についている。さらにまたクレーテー人アンドレアスをあなたに指摘しよう、彼もまた自分の母親と姦通したが、清浄な悔い改めによって、讃美歌の歌い手かつ神的な書物の雄弁家となり、監督の座を受けた。マゴス僧にして人殺しなら、キュプリアノスを見よ、みずからも悪霊たちの種族の生まれで、1030人の幼児を殺戮し、他にもみずからを目立った者となし、八つ裂きにして〔???〕、多くの人たちを神の道から外れさせた。しかるに、正しい回心(と)熱き告白とによって、精霊たちの軍勢に勝利し、監督者たちと同じ座につき、神への奉仕者(leitourgos)となったということを。こ〔の言葉〕をあなたに言おう。『ああ、わざわいなるかな、悔い改めない者たちは、無法のうちに死んで、クリストスの甦りを観ず、精霊たちもろとも懲罰を受けるために冥府におもむくとは、それは、あたかも福音が謂うとおり、『すなわち、罪を作る者はすべて罪の奴隷であり』〔ヨハネ8_34〕、罪は悪魔の息子である。悔い改めない者たちは悪魔が受け取り、これを彼〔罪を作る者〕の父なる悪魔のところに連れ行く。しかし、罪人が悔い改める前に供犠をなすなら、[322]主を激昂させる、預言者が謂うとおりに。つまり、『罪人の供犠は主にとって忌まわしく、彼の祈りは、悔い改めないなら罪を50倍にして、呪われたものとなろう、彼の頭の毛は白くなるからである』。もしも、罪を犯せば、自分の妻ももたないまま年老いても、自分の娘を相手に姦淫したのだ、だから万人の父と呼ばれるのだと、そういうふうに呼ばれよう。女でも、自分の頭の毛を白くして姦淫すれば、自分自身の生子を相手に姦通したと、そういうふうに呼ばれよう。これに反し、悔い改めた者にはみな主が耳を傾けられて言われる。『罪人の死を望まぬ。(彼が)回心して生きるために』。すなわち、聖なる福音はこう言っている。『無花果の木を切り倒すことを許せ、掘ることで3世代それを生き残らすために、それを切り倒せ、むしろ土地まで疲弊させるから』。木とは罪人のこと、掘るとは祭司の言葉、ブドウとは世界のことである。もしも回心せず、悪しき実をもたらすなら、永遠の火の中に連れ行かれる。ああ、わざわいなるかな、罪を犯しても悔い改めない祭司たちは!」。
彼にイアコーボスが言う。
「わたしたちに云ってください、イオーアンネース、諸教会や山々や物乞いたちの中に宝をたくわえる人たちについて。代価は何ですか?」。
使徒イオーアンネースが彼に言う。
「喜捨する者(hilaros dotes)を主は愛される〔IIコリント9_7〕ということです。何であれ、人が施しをすれば、百倍を報いられる。〔その人が〕弱弱者であるなら、それ〔病弱〕は軽減され、九十倍を報いられる。そしてひとが命終し、自分の従者に言う、『わたしの持ち物をくれ、ひとつは家令が持ち、ひとつの分け前は死者のもの』。〔???〕
確信をもちなさい、聴衆の兄弟たちよ。ひとが死んだ後には、悔い改めはなく、後悔する者たちに対する許し(synchoresis)もない。いや、あなたがたにもう一度言おう、わたしたちの神の人間愛を失望させてはならない、〔神〕ご自身が云っておられるからだ。『わたしのもとにやってくるひとを、外に追い出すことはけっしてしない』と。栄光と力は、永遠の永遠にいたるまでこの方のもの、アメーン。
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