2011/10/5
「時近ければなり その20」
原始キリスト教世界
エノクの黙示録・断片
エノクの黙示録
Apocalypsis Enochi (recensio ap. Syncellum)
6."t"
覚醒者たちに関するエノク第1書より。
6.1.1
そして人間たちの息子たちが増えたときになり、彼らに見目うるわしい娘たちが生まれた。
6.2.1
そこで彼ら〔覚醒者たち〕は彼女らに欲情した
6.2.2
覚醒者たちは迷い出て彼女らの後ろについてまわり、お互いに云いあった、「大地の人間どもの娘たちの中から、自分たちの妻を選ぼう」。
6.3.1
すると、彼らの支配者(archon)セミアザスが彼らに向かって云った、「このことを実行するのを、もしやあなたがたは拒み、わたしひとりが大きな罪を負う者となるのではないかと恐ろしい」。
6.4.1
するとみなが彼に答えて云った、「みんなで誓いを立てよう、つまり、この合意(gnome)を成就するときまで、これをひっくり返さないという条件で、お互いに呪いをかけて誓い合おう注1)」。
6.5.1
このとき、みなしていっしょに誓い、お互いに呪いをかけて誓い合った。
6.6.1
この者たちは200人、イアレド〔=ヤレド〕の日々に、ヘルモーン山注2)の山頂に降りたった、〔ここを〕ヘルモーン山と呼んだのは、この〔山〕で誓いを立て、お互いに呪いをかけて誓い合ったからである。
6.7.1
彼ら支配者(archon)たちの名前は、以下のとおりである、第1はセミアザス、彼らの支配者(archon)、第2はアタルクウプ、第3はアラキエール、第4はコーバビエール、第5はオラムマメー、第6はラミエール、第7はサムプシク、第8はザキエール、第9はバルキエール、第十はアザルゼール、第11はパルマロス、第12はアマリエール、第13はアナゲーマス、第14はタウサエール、第15はサミエール、第16はサリナス、第17はエウミエール、第18はテゥリエール、第19はイウウミエール、第20はサリエール。
7.1.1
以上の者らと自余のものらの全員が、世界の第1170年に、自分たちの妻を得た、そして、大洪水に至るまで、彼女らによって身をけがしはじめ、自分たちに3種族をもうけた。第1が、大きな巨人(gigantes)たちである。
7.2.1
さらに巨人(gigantes)たちはナペーレイム(Napheleim)をもうけ、ナペーレイムたちによってエリウウド(Elioud)を生んだ。そうして彼らの大きさはいや増し、自分たちと自分たちの妻たちに施薬と呪文(epaoidia)を教えた。
8.1.1
筆頭のアザエール、つまり第10番目の支配者(archon)は、軍刀(machaira)と鎧と、あらゆる戦具の作り方を教え、大地の鉱石と金を、いかにして製作するか、また、女たちのためにこれらを飾り物に作る仕方や、また銀子〔の作り方〕を〔教えた〕。さらに、選ばれた鉱石や染料で、きらびやかにし美粧することも彼らに教えた。そうして、人間どもの息子たちは自分たち自身やその娘たちのために作り、聖なることから道を踏み外し、惑い出た。
8.2.1
かくして地上に大いなる不敬が生じ、彼らの道を消滅させた。
8.3.1
さらにまた、彼らの筆頭支配者(protarchos)セミアザスは、理性(noos)に怒ることと、大地の植物の根を教えた。また第11番目のパルマロスは施薬、呪文、知恵、そして呪文による癒しを教えた。第9番目は星辰研究を教えた。第4番目は天文学を教えた。第8番目は星辰研究を教えた。しかし第3番目は大地の徴を教えた。しかし第7番目は太陽の徴を教えた。また第20番目は月の徴を教えた。これら全員が自分たちの妻たちや自分たちの生子たちに奥義を闡明しはじめた。その後、巨人たちは人間どもの肉をむさぼり食いはじめた
8.4.1
そのため、地上の人間たちは少なくなりはじめた。
"8col1".4.1
そこで自余の者たちは、自分たちの虐待(kakosis)について、天に助けを求めて叫んだ、こう言って 「彼らの記憶を主の御前に持ち出してください」。
"8col2".4.1
あるとき、人間たちは天に助けを求めて叫んだ、こう言って 「わたしたちの裁き(krisis)を至高者の前に持ち出してください、わたしたちの破滅を大いなる栄光の御前に、偉大さの点ですべての主たちの主の御前に〔持ち出してください〕」。
"9col1".1.1
すると4人の大いなる天使長たち――ミカエールとウウリエールとラパエールとガブリエール――が聞いて、天の聖所から地上をのぞきこんだ。
"9col1".2.1
すると、地上におびただしい血が流れ、ありとあらゆる不敬と無法がそこ〔地上〕に生じているのを眼にして、
"9col1".3.1
入っていってお互いに言い交わした、「霊たちと、人間たちの魂たちが、呻吟してこう言って請願している、『わたしたちの裁き(krisis)を至高者の前に持ち出してください、わたしたちの破滅を偉大な栄光の御前に、偉大さにかけてあらゆる主たちの中の主の御前に〔持ち出してください〕』。
"9col1".4.1
そこで彼らは永遠(aion)たちの主に云った、「あなたは神々の中の神、主たちの中の主、王者たちの中の王者、永遠(aion)たちの神、永遠(aion)たちの全種族におけるあなたの栄光の王座、すべての永遠(aion)においてあなたの名前は聖にして、祝福される。
"9col2".1.1
すると4人の偉大な天使長たち――ミカエールとウウリエールとラパエールとガブリエール――が聞いて、天の聖所から地上をのぞきこんだ。
"9col2".2.1
すると、おびただしい血が地上に流れ、ありとあらゆる無法と不敬が地上に生じているのを眼にして、
"9col2".3.1
入っていってお互いに言い交わした、「霊たちと、人間たちの魂たちが、呻吟してこう言って請願している、『わたしたちの束縛を至高者の前に持ち出してください』と」。
"9col2".4.1
4人の天使長たちは進み出て、主に云った、「あなたは神々の中の神、主の中の主、王者たちの中の王者、人間たちの神、すべての永遠(aion)たちの種族においてあなたの栄光の座、すべての永遠(aion)たちにおいてあなたの名は聖、すべての永遠(aion)たちにおいてあなたの名は聖にして祝福されている。
9.4.1
add. post aionas: kai ta hexes.
そのとき、至高者は聖なる天使長たちに命じ、〔天使長たちは〕彼らの指揮官たちを捕縛し、これを底なしの深淵の中に投げこんだ、裁きの時まで、
kai ta hexes. そして以上のことはエノークが証言している。
9.5.1
なぜならあなたは万物の作り手、万物に対する権力を持っておられる方、万物はあなたの前に現れ、隠されることがない。そして万事をあなたは見ておられ、あなたを欺くことのできるものはいないのですから。
9.6.1
あなたは見ておられる、アザエールが作ったかぎりのものを、彼が持ちこんだかぎりのものらを、彼が教えたかぎりのことを、つまり、諸々の不正、地上における罪、陸上のありとあらゆる罠を。というのは、彼は奥義を教え、天上のことを永遠(aion)に闡明しました。そのため、彼の生き方を、奥義を知るということを実践しているのです、人間どもの息子たちは。
9.7.1
彼とともにいっしょにいる〔同輩たち〕に対する権限(exousia)をもつことを、あなたはセミアザスにお認めになった。
9.8.1
そこで彼らは、地上の人間どもの娘たちのところに通い、彼女ら同衾し、牝たちによって身をけがし、ありとあらゆる罪を彼女らに明らかにし、憎むべき魅力(misitra)の作り方を彼女らに教えた。
9.9.1
ところが今や、見よ、人間どもの娘たちは彼らによって巨人たちを息子として生んだ。人間たちの大地に虚偽が流出し、大地全体が不正に充たされた。
9.10.1
ところが今や見よ、人間どもの魂たちの霊たちが請願し、彼らの呻吟は天の塔まで登りゆく、そしてそれは、地上にある不正事の前から逃れ出ることができない〔という呻吟なのだ〕。
9.11.1
げに、あなたはこのことを知っておられた、このことが起こる前から、そして彼らを見、彼らを放置し、これを彼らがどうすべきか、あなたは何も言われないのですか?」。
10.1.1
そのとき至高者は云った、偉大なる聖なる者が話した、そしてウウリエールをラメクの息子〔=ノア〕のもとに遣わした、こう言って、
10.2.1
「ノーエ〔=ノア〕のところに行け。そしてわたしの名で彼に云え、『身を隠せ』と、そして彼に、やがて来る終末を明らかにせよ、大地はすべて滅びると。そして彼に云え、全地に大洪水が起こるであろう、大地の面からすべては滅びるであろう、と。
10.3.1
何を為すべきかを、その義人に教えよ、ラメクの息子に、そうすれば自分の魂を生きながられられるよう守るであろう、永遠(aion)によって免れ、植物は永遠(aion)から生じ、永遠(aion)の全種族を立てられるであろう」。
10.4.1
またラパエールにも云った、「行け、ラパエールよ、アザエールを捕縛せよ。彼の手と足を縛れ、彼を暗黒の中に投げ入れよ、そうすればドゥウダエール荒野の中にある荒野を開け、そうしてそこに行って彼を投げこめ。
10.5.1
彼の上に鋭い石、ごつごつした石を置き、彼の視界を覆い、光を見さすな。
10.6.1
そして裁きの日に、燃えさかる火の中に引きずりこまれよう。
10.7.1
そうして、覚醒者たちが消滅させた大地を癒せ、そして打撃の癒しを明らかにせよ、彼らが打撃を癒されるために、そして、人間の息子たち全員が、奥義(これを覚醒者たちが云い、人間どもの息子たちに教えた)のせいで、破滅するわけではないのだということを〔明らかにせよ〕。
10.8.1.
かくして全地は荒野と化するであろう、アザエールの教えの業のせいで。そしてすべての罪をその〔大地の〕せいにせよ」。
10.9.1
〔神は〕またガブリエールにも云った、「行け、ガブリエールよ、巨人たちを攻めて、悪党どもを攻め、姦淫の息子どもを攻めて、人間どもの息子たちの血を引く覚醒者たちの息子たちを破滅させよ注3)。彼らをお互いに派遣し、お互いにお互いを戦争と破滅に陥らせよ。そうすれば、長い日々が彼らにあることはないだろう、
10.10.1
またどんな質問〔哀願〕も彼らの父親にはない、永遠の生命を生きることを彼らは希望し、また、彼らのめいめいは500歳まで生きることを求めているけれども」。
10.11.1
また〔神は〕ミカエールにも云った、「行け、ミカエールよ、セミアザスと、彼とともに他の連中――人間どもの娘たちと交わって、彼女らによって、その不浄さによって、穢れた者たちにも明らかにせよ。
10.12.1
そして、彼らの息子たちが殺戮しつくし合い、彼らの愛する者たちの破滅を眼にしたとき、大地の谷の中で、70世代すごすことを明らかにせよ。彼らの裁きの日まで、完全な決済の日まで、被造物が永遠の永遠に終わるまで。
10.13.1
そのとき彼らが運びゆかれるのは、火の混沌の中、責め苦の中、永遠の幽閉の牢獄である。
10.14.1
そして有罪判決を受け、抹消される者は、今から彼らの種族の終わりまで、彼らといっしょに縛られるであろう。
彼らが誓いを立て、自分たちの隣の者と呪いをかけて誓い合ったかの〔ヘルモーン〕山についていえば、永遠に至るまで、寒さや雪や霜がここから離れることは決してなく、大いなる裁きの日まで、露がここに降りることも決してない、呪いのためにここに降りてくることがないかぎりは。
そのとき(kairos)には、〔有罪判決を受け、抹消される者は?〕燃えあがり熔解するであろう、そして火によって蜜蝋のように燃えあがり熔解するものとなるだろう、そのように彼のすべての業について燃えつきさせられるであろう。
今こそわたしは、人間どもの息子たちであるあなたがたに言う、『あなたがたに対して、また、あなたがたの息子たちに対しても、大いなる怒りがある。そして、あなたがたに由来するこの怒りはやまないであろう、あなたがたの息子たちの殺戮の時(kairos)まで』。
そしてあなたがたの愛する者たちは破滅し、あなたがたの尊ぶ者たちは全地から死に果てるであろう、彼らの生命の日々はすべて、120歳以上には決してならないであろうから。なぜなら、彼らにとってまぬがれる道は今以降まったくないからである、すべての永遠(aion)たちの王があなたがたに対して怒った、その怒りのせいである。われわれはそれらをまぬがれられるだろうとみなしてはならぬ。
15.8.1
そして今や、霊たちと肉から生まれた巨人たちは、地上では、〔人々は〕これを邪悪な霊と呼ぶことであろう、彼らの住処は地上になるはずだからである。
15.9.1
霊は、彼ら〔巨人たち〕の肉の身体から出てきたのであるから、邪悪な霊であるだろう、それは、人間たちから生まれたからであり、また、彼らの創造〔されたこと〕の起源(arche)と、土台の初め(arche)とが、聖なる覚醒者たちに由来するからである。彼らは
15.10.1
地上では邪悪な霊となるであろう。
15.11.1
巨人(gigantes)たちの霊は、占有し、不正し、台無しにし、堕落し、取っ組み合い、地上に投げ飛ばし、競走をし、何も食べないものら、むしろ、欠食して、投げ飛ばし、幻影をつくり、渇き、躓くものらである。
15.12.1
そしてこれらの霊たちは、人間ども〔=男たち〕と女たちとの息子たちに襲いかかって攻めるだろう、彼らから出てきたのだからである。
16.1.1
そして、巨人(gigantes)たちの〔子〕であるナペーレイムの殺戮と破滅と死の時期の日以降、地上の強者たち、つまり大きな名だたる者たち、つまり彼ら〔巨人族〕の魂から出てきた霊たちは、肉に由来するから、裁き(krisis)なしに消滅するものたちである。そういうふうに彼らは消滅するだろう、最後の日まで、大いなる永遠(aion)が成就するあの大いなる裁きまで。
19.3.1
……人間たちの中には、わたしが見たように〔見たものはいない……〕。
20.2.1
〔ウウリエール〕聖なる〔天使たち〕のひとり、世界と奈落に〔配置されているもの〕。
20.3.1
ラパエール、聖なる天使たちのひとり、人間どもの霊に〔配置されているもの〕。
20.4.1
ラグウエール、聖なる天使たちのひとり、光輝くもの(phoster)たちの世界に復讐するもの。
20.5.1
ミカエール、聖なる天使たちのひとりで、民の善きものらに配置されている、また混沌に対しても。
20.6.1
サリエール、聖なる天使たちのひとり、霊に対して罪を犯すような霊たちに〔配置されているもの〕。
20.7.1
ガブリエール、聖なる天使たちのひとり、楽園と竜たちとケルウブたちとを見張るもの。レメイエール、聖なる天使たちのひとりで、神はこれを反抗者たちに向けて配置した。〔以上が〕天使長たち7人の名前である。
21.1.1
そうして、めぐりめぐって、形の整わぬ〔混沌の地〕までわたしはめぐっていった。
21.2.1
そして、そこで、怖ろしい業をわたしは目撃した。
わたしが眼にしたのは、上界の天でもなく、礎に置かれた大地でもなくして、形の整わぬ怖ろしい場所であった。
21.3.1
そして、そこでわたしは目撃した、天の7つの星たちが縛られ、そこ〔天〕にいっしょにうち捨てられているのを、見た目にも大きなもの、そして火に燃えるものらとして。
21.4.1
そのときわたしは云った、「いかなる理由で、捕縛されているのですか、いったいいかなる理由でこういうふうにうち捨てられたのですか?」。
21.5.1
するとウウリエールがわたしに云った、〔ウウリエールは〕聖なる天使たちのひとり、わたしに同行していた――みずからも彼ら〔聖なる天使たち〕を指揮していた――そしてわたしに云った。
「エノークよ、誰のことを尋ねているのか、それとも、誰について真理を熱愛しているのか?
21.6.1
これは天の星たちに属するものらにして、主の命令を踏み外したものら、それでかく縛られている、1万年の間、おのれの罪が充たされるまで」。
21.7.1
そして、そこから、この〔場所〕よりも怖ろしい別の場所にめぐっていった、その場所は、底なき深淵に達する裂け目を有し、〔その裂け目は〕下向きに燃えあがる大きな火柱に満ち満ちていた。その規模も大きさも、わたしは見ることはもとより想像することさえできなかった。
21.8.1
そのとき、わたしは云った、「ここは何と怖ろしいところか、何と眼にも恐ろしいことか」。
21.9.1
そのとき〔ウウリエールが〕わたしに答えて云った……
"incert".1.1
***
"incert".1.1
この山についていえば、彼らが誓いを立て、自分たちの隣の者どうしで呪いをかけて誓ったところである、永遠に至るまで、寒さと雪と霜がこの〔地〕から離れることは決してなく、また露もこの〔地〕に降りることは決してない、呪いをかけるためにこの〔地〕にくだってくることがないかぎりは、大いなる裁きの日まで、と。
"incert".2.1
そのとき(kairos)には、燃えあがり熔解するであろう、そして火によって蜜蝋のように燃えあがり熔解するものとなるだろう、そのように彼のすべての業について燃えつきさせられるであろう。
"incert".3.1
今こそわたしは、人間どもの息子たちであるあなたがたに言う、「あなたがたに対して、あなたがたの息子たちに対して、大いなる怒りがある。そして、あなたがたに由来するこの怒りはやまないであろう、あなたがたの息子たちの殺戮の時(kairos)まで」。
"incert".4.1
そして、あなたがたの愛する者たちは破滅し、あなたがたの尊敬する人たちは、死んで全地からいなくなるであろう、彼らの生命の日々はすべて、今から120年以上になることは決してないであろう。
"incert".5.1
そして、それ以上の歳月、なおも生きられると思ってはならぬ。彼らにとってまぬがれる道は今以降まったくないからである、すべての永遠(aion)たちの王があなたがたに対して怒った、その怒りのせいである。われわれはそれらをまぬがれられるだろうとみなしてはならぬ。
原始キリスト教世界
アダムの黙示録
[解説]
『アダムの黙示録(Apocalypsis Adam)』ないし『アダムの遺訓(Testamentum Adam)』の標題で伝えられているが、標題と内容は一致しない。題名としては、J.A.ロビンソンの"Nychthemeron"〔昼夜〕が正確といえる。テュアナのアポッロニオスの作と考えられている。
テュアナ〔カッパドキア〕のアポロニオス( -98頃)は、新ピュタゴラス派の哲学者、神秘主義的な宗教家。反キリスト教的な著作者たちによって、福音書のイエス伝と類似した伝記がつくられた。フィロストラトス(Flavios Philostratos 170頃-)の『テュアナのアポロニオス伝』はその代表的なものであり、後世のキリスト教の反対者たちはそれによってキリストの福音書の独自性を軽視した。(『キリスト教大事典』)
『昼夜(Nychth-emeron)』(テュアナのアポッローニオスの作と伝えられる)
『アダムの黙示録(Apocalypsis Adam)』
[1]
"t"
学者アポッローニオスの〔作〕。
昼間の12〔刻限〕の名称。
"1a"
第1刻限と呼ばれるのは、祈るの(proseuchesthai)が善い刻限。
"1c"
Cedren. 昼間の第一刻限に、最初の祈りが天上でかなえられる。
"2a"
第2刻限と呼ばれるのは、天使たちの祈り(euchai)と讃美(hymnoi)の行われる刻限。
"2c"
第二刻限に、天使たちの祈り(euche)。
"3a"
第3刻限と呼ばれるのは、有翼のものらが神に感謝する刻限。まさにこの刻限に、あらゆる元素(stoicheion)が仕上げられる。
"3c"
第三刻限に、羽のあるものらの祈り(euche)。
"4a"
第4刻限、神に作られたすべてのものが感謝する刻限、この刻限に、(判読しがたいヘブライ語)つまりあらゆる有毒動物までが感化される。
"4c"
第四刻限に、家畜たちの祈り(euche)。
"5a"
第5刻限と呼ばれるのは、あらゆる動物が神をたたえる刻限。この刻限に、あらゆる…〔欠損〕…が成就する。
"5c"
第五刻限に、獣たちの祈り(euche)。
"6a"
第6刻限と呼ばれるのは、ケルウブたちが人間たちのために神に懇願する刻限。
"6c"
第六刻限に、天使たちの加護(parastasis)と、あらゆる被造物(ktisis)の区別。
"7a"
第7刻限、天使たちの部隊と援軍が神をたたえる刻限。
"7c"
第七刻限に、神のもとへの天使たちの入場と、天使たちの退場。
"8a"
第8刻限と呼ばれる。
"8c"
第八刻限に、天使たちの讃美(ainesis)と供犠。
"9a"
第9刻限と呼ばれるのは、人間たちの祈りがある刻限、何ものも達成されない刻限。
"9c"
第九刻限に、人間の願い(deesis)と神仕え(latreia)。
"10a"
第10刻限、〔人々が〕水をたたえ、神の霊(pneuma)が降りてきてその上を漂い、それを聖別する刻限。そういうふうでないなら、邪悪な精霊たちが人間どもを害するであろうから。この刻限に、人間が(清水)を汲み、聖なるオリーブ油といっしょに混ぜれば、あらゆる(病苦)が癒される。そして悪霊に憑かれた者たちを清浄にし、精霊たちを退散させる。
"10c"
第十刻限に、水の監督と、天上・地上の願い(deeseis)。
"11a"
第11刻限、神に選ばれた者たちが悦ぶ刻限。
"11c"
第十一刻限に、万物の賛嘆(anthomologesis)と歓喜(agalliasis)。
"12a"
第12刻限、人間どもの祈りが神に嘉せられる刻限。
"12c"
第十二刻限に、嘉納に対する人間どもの執成の祈り(enteuxis)。
[2]
"t"
夜間の〔12〕刻限の名称。
"1a"
第1刻限、精霊たちが神をたたえ、不正することもなく、懲らしめることもない刻限。
"2a"
第2刻限、魚たちが神を讃美し、深いところにある火をも〔讃美する〕刻限。この刻限には、造られたものら(apotelesmata)はドラコーンたちや…〔欠損〕…や火を教えこまれなければならない。
"3a"
第3刻限、ヘビたちやイヌたちや火がたたえる刻限。
"4a"
第4刻限、精霊たちが墓場を通りすぎる刻限、そこに通りがかった者は害され、精霊たちの幻影によって恐怖と戦慄にとらわれるであろう。この刻限には、<造られたものら(apotelesmata)は教えこまれ>なければならない……いかなる魔術的な行為の……。
"5a"
第5刻限、上方の水が天上の神をたたえる刻限。
"6a"
第6刻限、平静にし休息すべきとき、恐怖をいだくからである。
"7a"
第7刻限、ありとあらゆる生き物が休息する刻限。誰か清浄な人が(清水)を汲んできて、これを祭司がそそぎ、オリーブ油と混ぜ、これを聖別して、油塗れば、不眠の病弱者をたちどころにその病から快癒させるであろう。
"8a"
第8刻限、多種多様な植物についても元素(stoicheion)をわれわれが成就する(成就すべき?)刻限。〔???〕
"9a"
第9刻限、何ものも成就しない刻限。
〔"10"
欠番〕
"11a"
第11刻限、天上の諸門が開き、人は昏睡していてよく聞き従うものとなるであろう刻限。この刻限には、反響をともなって翼に乗って飛ぶのが天使たちであり、ケルウブたちであり、セラプたちである。そして、天上・地上に喜び(chara)がある。さらに太陽もまたエデムからさし昇る。
"12a"
第12刻限、火の諸部隊(tagmata)が休息する刻限。
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