1日1~5杯の緑茶で小学生のインフルエンザが40~50%減

2011年10月19日 12時0分 更新

1日1~5杯の緑茶で小学生のインフルエンザが40~50%減

静岡・菊川市の全小学生を調査

 「緑茶の飲用習慣が小学生のインフルエンザを予防する」という疫学調査の結果が、米医学誌「Journal of Nutrition」の10月号(2011; 141: 1862-1870)に掲載された。静岡県立大学薬学部の山田浩教授らが、お茶の産地として知られる静岡県菊川市内の全小学校児童(9校、2,663人)を対象に調査したところ、インフルエンザの発症は、緑茶の飲用習慣が1日1杯(200ミリリットル)未満の小学生と比べて、1日1~2杯で38%、1日3~5杯では46%も減少していたという。

週6日以上飲むだけでも4割減少

 山田教授らは 2008年11月~09年2月、6~13歳の小学生に2度にわたって無記名のアンケートを実施し、2度とも回答した2,050人(77.0%)について、緑茶を飲む頻度(週に1~2日、3~5日、6日以上)と1日の消費量(1日1杯未満、1~2杯、3~5杯、6杯以上)でグループ分けし、分析した。どのグループでも、半数以上がインフルエンザ予防接種を受けていた。

 なお、50%以上が週に6日以上緑茶を飲んでおり、消費量は1日1杯未満が38%、1~2杯が39%、3~5杯が20%、6杯以上が2%で、ほぼ日本人の成人と同じレベルだった。

 期間中241人に医師の診断でインフルエンザ発症が認められ、抗原検査でインフルエンザと確定されたのはそのうち204人(A型185人、B型18人、A型とB型の重複感染1人)。年齢や家族内に感染者がいるなどの項目で調整したところ、週1~2日群と比べて週6日以上群では、インフルエンザ発症(抗原検査による確定)が40%の減少していた。

 また、1日の緑茶の消費量で分けると、1杯未満群と比べて1~2杯群で38%減、3~5杯群で46%減となった。なお、それ以上(1日6杯以上)消費する児童は少数だったため、統計学的に有意な差は認められなかった。

“緑茶うがい”による研究にも着手

 緑茶に含まれるカテキンにインフルエンザを予防する効能があるのではないかということは以前から指摘されており、テアニンが免疫力を高めるという報告もある。一方で、緑茶はカフェインを含んでいるため、子供の適正な摂取には議論の余地がある。

 小社の取材に対し、山田教授は「今回の研究は、子供における世界初の疫学調査。週6日以上、1日1~5杯の緑茶飲用習慣が、小学校児童のインフルエンザ予防に役立つ可能性を示した。これは、子供の適正な緑茶飲用を考えさせる面からも、非常に興味深い結果となったと考えている」とコメントした。

 同教授らは現在、高校生を対象にした“緑茶うがい”によるインフルエンザ予防効果を検証する研究に着手し始めているという。こちらの結果にも注目だ。

(編集部)


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