東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

福島第二 03年に扉耐水工事 効果なく冷却機能喪失

 東京電力が二〇〇三年、津波に襲われることを想定し、海に面した福島第二原発の海水熱交換器建屋の防水性を強化する工事をしたのに、東日本大震災の際はほとんど役に立たなかったことが分かった。経済産業省原子力安全・保安院は、電力各社に防水性の強化など中長期対策を求めているが、小手先の対応では不十分との教訓になりそうだ。

 東電が〇二年三月に保安院に出した報告書によると、東電は土木学会の「津波評価技術」(〇二年二月発表)を用い、福島第二は最大五・二メートルの津波に襲われると想定。原子炉の熱を海に逃がすための海水熱交換器建屋は、敷地が一段低いため対策を検討。いったんは「扉のすき間からの漏水量は十分小さく、津波の影響を受けない」と結論付けた。

 しかし東電によると、〇三年になって「念のため」(広報)として、扉のすき間を埋めるゴム製部品を取り付ける対策を取った。

 しかし大震災では1〜4号機すべての海水熱交換器建屋が浸水。建屋内に置かれた電源盤に海水がかぶったため、3号機を除き、海水をくみ上げるポンプと原子炉へ注水するポンプが停止した。炉内の熱を海に逃がすという重要な機能が失われ、復旧に三日かかった。

 その後の東電の調査で、建屋の扉やシャッターそのものが津波で壊れ、この程度の扉の防水性を高めた対応では役に立たなかったことが確認された。

 東電広報は「真摯(しんし)に受け止め、今後の評価につなげたい」としている。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo