大宮戦で中村(右奥)とダブルボランチを組み守備に貢献した吉村(左)=22日、NACK5スタジアム大宮で
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名古屋グランパスは22日の大宮戦(NACK)に3−2で逆転勝ちし、首位・柏に勝ち点3差をキープ、連覇に希望を残した。大宮戦に続いて11月3日のC大阪戦(豊田ス)でもポイントになるのが、2試合出場停止のMFダニルソンの穴だ。大宮戦では、MF吉村圭司(32)が先発し中村とダブルボランチを組んだ。その出来を振り返る。 (木本邦彦)
アンカーと呼ばれる中盤の下がり目のポジションで幅広い動きをするダニルソンが抜けた時の代替案は主に3つ。微妙にシステムは変わるが、吉村、磯村、金崎の起用が考えられた。ストイコビッチ監督が選択したのは、攻撃的MFから下がった中村と吉村のダブルボランチだった。
故障明けの吉村はJ1では約6カ月ぶりの先発。試合当日まで先発は伝えられないが、吉村は自分が指名された場合の、監督に求められる役割をイメージしていた。
イメージ通りのシーンが前半18分にあった。左サイドの小川からのパスを中央で受けた吉村は、背後から寄せてきた敵を反転してかわすと、右サイドを上がった田中隼にロングパス。田中隼のクロスを頭で合わせたケネディのシュートはゴール右に外れたが、素早いサイドチェンジが絶好機を演出した。
逆転勝利を喜んだものの、吉村は自分のプレーには消化不良気味だった。ハーフタイムにストイコビッチ監督は全体への指示として「もっとサイドチェンジを使え」と伝えた。玉田や藤本が細かいタッチを駆使して崩す一方で、吉村や阿部を絡めて大胆なサイドチェンジを使えば、攻撃はさらに破壊力を増す。
「もっとやれたはず」と吉村は満足していない。献身的な守備と展開力を披露する一方で、不用意にボールを失う場面が何度かあり「試合の流れにうまく入っていけなかった」。半年のブランクはまだ埋め切れていないようだ。
中村とのダブルボランチは昨年J1では1度だけだったが、08年にストイコビッチ監督が就任した時の定番。中村は「お互いのポジションを見ながら、うまくバランスが取れていると思う」と連係には不安はなく「試合から離れていた影響もあるでしょう」と相棒を気遣いながら、時間とともに安定する感触がある。ストイコビッチ監督は大宮戦後、ダニルソンの穴について「次にまた考える」と評価を避けた。吉村は求められるプレーを理解しているから、次の出番へ慌てることなく準備を進める。
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