─ 久保田さんが考える「わたしらしくをあたらしく」とは?
どんなに相反することであっても、常に様々な次元における色々な物に興味を持って、新しい概念のはじまりや種を見つけて育てていくことだと思います。
─ 久保田さんにとってのアートとは?
人も時間も空間もクロスオーバーして、人がどこからきてどこへ行くのかを確かめるツールとして美術は有効だと思います。記憶や経験をはらんだ物たちを用いて新しくレイヤーを作るということは、思いもよらない新たな意味や概念を作ることができます。そのようにして経験と記憶を育て、価値領域を拡げていくということは、人間の概念と境界線を拡張していくことです。アートとは、そういった、未来に役立つためのものです。
─ 今回のプロジェクトに向けての作品選出、もしくは制作のポイントは?
(今回のWomansという企画で意識した点など)
今回はこれまでの作品と違い、地図や文字、図面、生物、エスキースのような、たった一枚のレイヤーで自立していて美しいと思えるものたちの骨格と意味を抜き取って、無意味なテクスチャーを作ることを目標としました。
─ ルミネのお客さまに向けたメッセージをお願いします。
普段目にすることのないようなものがルミネ内に多数ちりばめられていると思います。じっくり、何度でも堪能していただいて、誰かの意識の中に新たな違和感やひっかかりが生まれたら嬉しいです。
─ アートをはじめたきっかけと、なぜこのような表現方法を選んだのかを教えてください。
私は幼い頃から家族の影響で考古学に興味があり、古代瓦や土器、泥面子を集めては図書館でルーツを調べ、コレクションをしていました。絵を描くようになって、いつからか私も、私にとってのあの考古遺物たちのような創造力を誘爆する物を作れないだろうか、と考えるようになりました。このような表現方法を選んだのは、何かの骨格や、あるいはそれとは真逆である「不在」の輪郭をなぞる、ということが私にとって最もしっくりくる制作方法だからです。私はやはり物を作る人間なので、そういった媒体の力を何度も考古的な場所で確認したり、思いきり頼ったりしながら、制作を続けています。
─ 制作の際、いつも心がけていることは何ですか?また、制作中はどんなことを考えていますか?
自分の密度を落とさないように気をつけています。その他は、あまり何も考えていません。制作するときは、大抵辛い気持ちで制作しています。
─ いま一番注目していること/ものは何ですか?
沖縄の九高島にあるクボー御嶽、長野の諏訪大社のミシャグチ信仰、宮崎県高千穂町の銀鏡神楽に興味があります。
2011/09/06