歴史教科書の執筆基準めぐり論争

「唯一の合法的政府」記述削除か

 韓国の歴史教科書執筆基準開発委員会は今月19日の会合で、草案の「自由民主主義」という記述を「自由民主的基本秩序」に修正し、当初案にはなかった「独裁」という用語を採用した。同委はまた「国連から韓半島(朝鮮半島)で唯一の合法政府として承認された」との記述に関し「韓半島で唯一の」という表現を削除すべきとの意見を国史編さん委員会に提出し、論議を呼んでいる。

■「唯一の合法政府」削除?

 学識者の一部は「表面的には事実関係を訂正したように見えるが、主張の背景が疑わしい」と指摘している。

 「唯一の合法政府」という表現の削除を求めた全南大のイム・ジョンミョン教授(歴史学)は、17日の公聴会で「大韓民国を唯一の合法政府として承認した1948年の国連総会決議は、韓半島全体ではなく、国連臨時委員団との協議、監視の下で、38度線以南に限定して実施されたものだ」と主張した。漢陽大の故イ・ヨンヒ元教授(故人)も同じ見解から「大韓民国は韓半島で唯一の合法政府ではない」との主張を繰り返していた。

 しかし、一部の学者は「隠れた意図が疑わしい」と反論している。明知大のカン・ギュヒョン教授は「韓国は歴史的な伝統性と国際社会による認定を受けたという点で、北朝鮮の政権とは異なる扱いを受けた。『韓半島で唯一の』という表現が欠落すれば、当時国連の承認を受けられなかった北朝鮮とは異なり、韓国が韓半島で国連の承認を受けたという意味合いが弱まる点を狙ったものではないか」と指摘した。

金翰秀(キム・ハンス)記者
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