【現場から】ブラジルと新たな関係を築く

2011.10.24 05:00

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 「みっともない」という言葉が心にすとんと落ちた。22日付の産経新聞に掲載された連載企画「希望大国ブラジル」の第5部の「中国にない『パートナー関係』」(サンケイビズのサイトにも掲載)と題した記事。上智大の堀坂浩太郎名誉教授(67)が表現した一言にブラジル、ひいては世界での日本の立ち位置が象徴されつくされている気がした。

 《中韓の突出した部分だけをみてあたふたするのはみっともない》

 この5年でブラジル市場で急速に台頭している中国や韓国の動きを前にした、日系企業の様子を表現した言葉だ。日本企業は1950年代からブラジルと官民で協力関係を築いてきた歴史があり、「中国や韓国にまた抜かれた」と騒ぐメディアや企業の姿勢に違和感を覚えているのだ。

 確かに、今年ブラジルに現地取材に訪れた際、日本企業はおろか、ブラジル企業の幹部も決まって両国のプレゼンスの高さを口にした。韓国は、他の新興国と同様、家電製品で日本勢を圧倒し、自動車の販売台数も急速に伸ばす。中国はこの2、3年で輸出の量を爆発的に増やし、ブラジルにとっては米国と並ぶ最大の貿易相手国となった。

 一方、日本企業の取材では「あの広告戦略はまねできない」「優秀な現地人材は引き抜かれる」と寂しい証言はいとまがない。サンパウロへの航空便も日本航空が廃止する一方で大韓航空は次々増便。かつての日本人街も中国人に埋め尽くされる。

 取材を振り返ると、日本の立場を「みっともない」で済ませてよいのかと疑問も沸く。日本企業の立ち位置もなくなるのではと心配も募る。ただ、確かにブラジルでは少し歩くと、日系人や日本の過去の取り組みの足跡がすぐに見つかるのも事実だ。希望は見えない。が、堀坂名誉教授のいうように「重層的な関係を洗い直し新たな関係を築く」ことには意味があると感じた。(森川潤)

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