大阪と中国を拠点に事業を展開した衣料品販売会社の社長らが、婦人服の輸入を装い、大手銀行から82億円を不正に引き出したとして、大阪地検特捜部に詐欺の疑いで再逮捕されました。社長はNHKの取材に対し、詐欺の疑いを否定していました。
再逮捕されたのは、大阪にあった衣料品販売会社「U.F.O.」の社長、谷絹子容疑者(61)ら2人です。谷社長は、会社の民事再生手続きで、290億円分の在庫を偽ったとして民事再生法違反の疑いで逮捕されていました。大阪地検特捜部の調べによりますと、谷社長らは、3年前、中国の子会社で製造した高額の婦人服を輸入するように装い、銀行に信用状を発行してもらう決済方法を悪用して、りそな銀行とみずほ銀行から82億円をだまし取った疑いが持たれています。この決済方法は、銀行が信用状を発行して、輸入される商品を担保にその代金を立て替えて支払い、のちに輸入業者から代金を回収する仕組みです。谷社長らは、半年間に30回にわたって輸入したとしていましたが、実際には、商品を輸入しないなどして、銀行から立て替え代金を不正に引き出し、代金を返済しなかったということです。U.F.O.は、30を超える金融機関から調達した資金のうち、368億円を返済していないということで、特捜部は資金の流れを調べることにしています。谷社長は逮捕される前、NHKの取材に対し「輸入した商品は実在し、詐欺には当たらない」と疑惑を否定していました。