欧州の財政危機が発端となった先進国の経済不安が、韓国のドル箱輸出産業に直接影響を与え始めた。主要企業の第3四半期(7‐9月)の決算は急速に悪化しており、海外駐在員を中心に人員調整に入る企業も出始めた。当初発表していた投資計画を中止、縮小するケースも出ている。
韓国造船・海運大手、STXグループの李鍾哲(イ・ジョンチョル)副会長は21日、系列会社の財務担当者を集め、緊急会議を開いた。同社が欧州財政危機により、資金難にあえいでいるとのうわさが証券業界で流れた直後だった。
同日にはSTX造船海洋、STXパンオーシャンなどグループの上場企業5社の株価が一時10%以上暴落した。グループの中核は、造船会社であるSTX造船海洋と海運会社のSTXパンオーシャンの2社で、いずれも最近は業績が不振だ。STX造船海洋は今年1‐9月の受注額が年間目標(128億ドル=約9750億円)の33%にとどまり、STXパンオーシャンは第3四半期の赤字を予想している。
結局、姜徳寿(カン・ドクス)会長は23日「今後大規模なM&A(企業の合併・買収)は行わず、海外資産の売却で7000億ウォン(約466億円)以上の資金を確保する」と表明し、不安払拭(ふっしょく)に乗り出した。
■決算が急速に悪化
鉄鋼販売代理店の経営者は最近、韓国鉄鋼協会が毎年発表する鉄鋼流通在庫量を見て驚いた。先月末現在で、韓国国内の鉄鋼販売代理店約100カ所の保有する在庫が過去最高の124万トンに達したからだ。同経営者は「自動車はまずまずだが、建設、造船、重工業、家電などの不振で、下半期に鋼材が倉庫に山積みになっている」と話した。
鉄鋼の市況低迷は、ポスコの第3四半期の営業利益が前期比で27.4%落ち込んだことに表れている。
テレビ、スマートフォン向けの液晶パネルを生産するLGディスプレーの権暎寿(クォン・ヨンス)社長は、決算発表のたびに会見場に姿を見せていた。しかし、20日の第3四半期決算発表には出席しなかった。同社は第3四半期だけで4920億ウォン(約327億円)の営業損失を計上し、4四半期連続の赤字となった。
LG電子の携帯電話事業部も第3四半期も赤字が見込まれ、昨年第2四半期以降、6四半期連続赤字となる。企業の業績悪化は、先進国市場の需要後退が主因だ。最近数年間にわたり、輸出1、2位を占めてきた造船業界の第3四半期の受注量は前四半期に比べ半減した。