■再建、運営に影
一方、津波で被災した学校では、生徒減が今後の運営に影を落とす。
宮城県石巻市立渡波(わたのは)中は現在、400人余の生徒が在籍する。震災がなければ約480人になっていたはずで、2割近くが他校に転出したことになる。行き先は市内が7割、仙台市など県内他地域が2割で、中には親類などを頼って北海道や長野県に転校した生徒もいる。
「仲の良い友人と離ればなれになった生徒も少なくない。部活動でチームが組めなくなることもあった」。三浦浩教頭は転出者が相次いだ影響を説明する。9月の新人戦では、男子バレーボールとソフトボールは他校と合同チームを組まざるを得なかった。
渡波地区は津波被害が深刻で、学校は約3キロ離れた仮設校舎に移転した。地区も学校も再建のめどが立っているとは言い難い。一度は近隣校に転出したものの「慣れ親しんだ学校がいい」と「復帰」した生徒もいるが、ごくまれ。「生徒が減り続ければ、学校の活気が失われるだけでなく、地域に住む人がいなくなり、学校の存続も危うくなる。震災から時間がたっても不安はなくならない」と三浦教頭は話す。
9月1日現在の転校数は、2万5751人で、5月1日時点から3982人(18.3%)増加。岩手、宮城、福島の3県は計2万4092人で全体の93.6%。原発事故の影響を受ける福島県が1万8368人と全体の7割を占めた。3県からの避難先は山形が1362人と最多で、東京1295人▽埼玉1278人▽新潟1270人など。
毎日新聞 2011年10月24日 東京朝刊