60.髪は体の一部だが
黒い髪が1cm以上に伸びて髪の毛の色が2段になっていたが、色の境目より下で刈って、この数年続けていた金髪頭とお別れしたのだ。
金髪頭のときは美容院でカットしてブリーチ(脱色)してもらっていたのだが、今回は刈るだけだから理髪店に行った。
お寺の坊さんみたいな頭になった鏡の中の自分は、どこか借り物みたいに見えた。
それくらい自分の中で金髪頭になじんでいたということだろう。
2008.5.12
頭頂部の髪がだんだん薄くなったのが目立つようになり、試しに家にあったブリーチ剤を使って自分で脱色してみたのだ。
それ以前から髪を短めに刈って、薄い頭頂部とその周りとの見た目の差を減らすようにしてはいた。
それでも地肌の透けるのが気になるほどになったので、それならいっそ髪を脱色して地肌との色の差をなくしてしまえと考えたのだった。
2008.5.13
会社に行くと、さすがに周囲の人間はちょっと驚いていた。
しかし会社で販売している商品を使ってブリーチしたのだから、別に悪びれる必要もない。
それにボクのいた会社は元もとそういったことを許容する自由さがあったのだ。
上司や同僚の何人かはおしゃれとして、半白髪の頭の前髪の一部を青や紫に染めてもいた。
2008.5.14
だが昔と違って、今の世の中は異分子に対しての許容度がはるかに高くなっているから、あくまで見られるとしても「チラっと」だけで、ジロジロとではない。
SONYのウォークマンが世に出てまもない頃、ヘッドフォンをしているだけでジロジロと半ば咎めるような眼で見られた(この辺のことは228・229コマ目で触れている)ことに比べれば、現代は多様化がそれだけ進んだと言えそうだ。
2008.5.15
さすがにスキンヘッドにする勇気はない。
刈りたての(ほぼ)坊主頭を手でなでてみたら、なんだかゴルフ場のグリーンのようで、手のひらの感触が気持ちよかった。
坊主頭を見たニョーボは、はじめて金髪頭にしたときと同じくらい呆れた顔をしていたけれど、「触ると気持ちいいぞ」と言うと、ちょちょっとなでて感触を確かめていた。
2008.5.16
最後に金髪頭にして数十日たって伸びてきた黒い髪と、金髪との色の境目から下で刈り込むために坊主頭にしただけだ。
短くはなったが、ほぼ黒い頭になった。
「ほぼ」と言うのは、白髪がほんの少し混じっているのと、何日たっても少しも色が変わらない(つまり全然伸びない)髪が混じっているからだ。
あんまり目立たないけれど、鏡をよくのぞきこんで見ると、ちょっとかなしくなる程度には混じっている。
2008.5.17
30年以上前に一度スポーツ刈り風にしてから、ずっと2〜3cmの長さで来ている。
短髪だとシャンプーも髪を乾かすのも楽だし、寝癖もほとんどつかないから実に具合がいいし、整髪料だってヘアトニック類しか使わなくて済むから、髪が汚れにくくて清潔だ。
2008.5.18
30年くらい前の同年代の男のほとんどは、当時はやりのアイビールック調の七三分けにしてるか、ビートルズか全共闘かぶれみたいなロングヘアにしていた。それが気に入らなかっただけのことである。
それで、社会人になって間もない頃は、パーマをかけて古代ローマ人みたいな頭にしていたのだ。
2008.5.19
流行ったどころかパンチパーマなどという妙なヘアファッションさえできてしまった。
別に流行に乗ってはじめたパーマ頭じゃなかったから、ボクはさっさとやめることにした。
2008.5.20
ネクタイにスーツ姿でスポーツ刈りの男なんか、体育会OBみたいな奴ぐらいしか見かけなかったし、当時の若い芸能人なんてロングヘアばかりだったから、ボクは大いに満足した。
だいたい身長160cmしかないのに、髪のボリュームを大きくして、わざわざプロポーションを悪く見せることもないだろうと思うのだ。
2008.5.21
若かった頃に比べると、髪の伸びる速さが半分になってるんじゃないかと思うくらいゆっくりだから、まだカットに行くには早すぎる。
節約にはなるがホントはちょっと口惜しい。
とりあえず、先月は金髪部分をすっかり刈り取ってしまったが、こんどはどうしよう。
2008.5.25
だからと言って、この先ずっと完全な坊主頭にするのは、まだ気分的に時期尚早だ。
このところ家で着ている作務衣姿の自分を鏡に映すと、いかにもお勤めがないときのお寺の坊さんのように見えるし、また元の金髪頭に戻そうか。
※結局8か月たって、元の金髪頭に戻してしまった。
2008.5.26
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