2011年8月26日 12時22分 更新:8月26日 13時22分
【カイロ樋口直樹】リビアの反カダフィ派で構成する国民評議会(NTC)は25日、本拠地を東部ベンガジから首都トリポリへ移転し、政権移行作業に着手したことを正式に発表した。最高指導者カダフィ大佐の捜索や戦闘が、トリポリの一部や大佐の故郷である北中部シルトで続いているが、評議会は本拠地を首都へ移転させることで、早期政権移行への意欲を国際社会にアピールする狙いがある。
AFP通信によると、本拠地移転などは評議会のタフニ石油・経済担当相が25日、トリポリで明らかにした。アブドルジャリル議長ら最高幹部はトリポリの治安が安定次第、首都に入るという。
ロイター通信などによると、カダフィ派の勢力が強いトリポリ南部アブサリム地区では、数千人の反カダフィ派メンバーが怪しい建物を一軒一軒しらみつぶしに捜索。カダフィ派狙撃手との間で激しい銃撃戦になった。
25日には反カダフィ派の間に「大佐と息子を包囲した」とのうわさが流れたが、発見には至らなかった。一方、大佐は25日夕、衛星テレビを通じた音声メッセージで「トリポリのネズミ(反カダフィ派)を放置するな。すぐに殺せ」と訴え、支持者に抗戦を呼びかけた。
反カダフィ派は北中部シルトの攻略も本格化させている。部族指導者を相手に交渉で恭順を迫っているが、シルトに迫った部隊が途中で攻撃されたため、戦闘に発展した。シルトには大佐が潜んでいる可能性も指摘されている。
カダフィ派はこれまでに、東部の要衝マルサエルブレガや北中部の石油精製拠点ラスラヌフから撤収し、シルト周辺に立てこもる動きを見せている。同派は、カダフィ一族の出身地、南部サブハでも勢力を維持している。