リビア:首都が陥落…カダフィ政権崩壊

2011年8月24日 11時36分 更新:8月24日 13時28分

リビアの首都トリポリのバーブ・アジジヤでカダフィ大佐の像を踏みつける反体制派。背後には巨大な手が米機を握りつぶす像が建つ=2011年8月23日、AP
リビアの首都トリポリのバーブ・アジジヤでカダフィ大佐の像を踏みつける反体制派。背後には巨大な手が米機を握りつぶす像が建つ=2011年8月23日、AP

【ジンタン(リビア西部)和田浩明、カイロ樋口直樹】リビアの反体制派は23日、トリポリ南西部バーブ・アジジヤ地区にある最高指導者カダフィ大佐の居住区兼軍事基地に突入し、制圧した。42年間に及ぶ独裁政権の象徴として最後まで頑強に抵抗してきた居住区の制圧によって、首都トリポリは陥落し、カダフィ政権は事実上崩壊した。ただ、カダフィ派は反攻の機会をうかがっており、今後も散発的な戦闘が続く見通し。東部ベンガジを拠点とする反体制派・国民評議会(NTC)は週内にも本部をトリポリに移し、カダフィ派の掃討や政権移行を急ぐ方針だ。

 ◇大佐は依然不明

 カダフィ大佐は依然行方をくらましたままだが、24日未明にトリポリのラジオ放送を通じ、バーブ・アジジヤ地区から「戦術的に移動した」との声明を発表。「殉教」や北大西洋条約機構(NATO)との戦いの勝利を誓った。中東の衛星テレビ局アルアラビーヤによると、声明に前後して、バーブ・アジジヤ地区近くに数十発のミサイルや迫撃砲弾が撃ち込まれた。トリポリ西部の町をカダフィ派が戦車などで攻撃しているとの情報もある。

 トリポリの大部分を制圧していた反体制派は23日、カダフィ派が立てこもる大佐の居住区兼基地に戦闘員を集中させ、重機関銃やロケット砲などで約5時間にわたって攻め立てた。居住区兼基地は6平方キロメートルに及ぶ広大な敷地を有し、地下には隣接地区に続くトンネルなどが張り巡らされているといわれる。カダフィ派の「本丸」として機能してきたため、NATO主導の多国籍軍からたびたび空爆されてきた。大佐はここに潜んでいたとの見方が根強いが、カダフィ派が掌握する大佐の故郷、北中部シルトなどにあらかじめ逃れていた可能性もある。

 アルアラビーヤによると、反体制派側はトリポリの制圧に向けた戦闘で400人以上が死亡、少なくとも2000人以上が負傷したと述べた。

 ロイター通信によると、サルコジ仏大統領はオバマ米大統領との電話協議後、カダフィ政権の終えんは「不可避で、近い」と指摘。NATOも、大佐の行方が分からないことはもはや大きな懸念ではないとしている。

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