過去に作られた理論が現代に通じない側面についても書かれていて、過去の理論にはまり込んで言い訳ばかり考える人物には耳が痛い話かもしれない。とくにケインズ理論にはまっている人間の言い訳はワンパターンで、効果が一時的に終わってしまうと、「財政出動が足りなかったから」という台詞を恥知らずにも書いたり言ったりする。それが10年ほど続いてきて小泉時代に事実上の終焉を迎えることになる。本には20年以上、そして現在もケインズ政策が続いていると書いてあるが、この点は間違いで、公共事業はすでに大幅に減っている。ただし社会保障がケインズ政策というならこの本に書かれている通り、未だに続いているとの解釈もかのうではある。
地味ながらも図を多用しているし、広く浅くわかりやすく説明する池上彰本とは違って、優しく深くわかりやすく解説していて、更に金融に関して結構広い範囲を網羅しているから、この本の内容を理解できるようになれば、経済雑誌に書かれている内容の多くを解説なしで理解できるようになり、そして評論家の思考や価値観からくるご都合主義の解釈も読み取ることも可能になるかもしれない。それほどに社会主義者が呈してくる論を予想して書かれている。
マドフの6兆円詐欺の話を最初にして、その後に政府が運営する年金がいかに詐欺的であり、マドフの6兆円詐欺とたいして変わらないかもよく理解できる。そしてこの詐欺によって高齢者がいかにネズミ講の頂点で荒稼ぎしてきたかもわかる。民主主義の行き着く先である衆愚政治の根源を見るかのようである。
反グローバリゼーションを掲げる人にも一つのアンチテーゼが掲げられていて、国家を上げて農家を守ってあげようが、いざとなったら税金で守られていることに感謝することを忘れて消費者を裏切り、そして食糧不足をいいことに平気で値上げをしてくるのが過去のパターンである。それなのになぜか税金で守られている農業を保護しろと主張して既得権擁護に走る不思議な連中がいかに今の日本に多いか。
そしてこの手の連中は綺麗事の単語が大好きで、その代表が安全保障だろう。世界的な凶作が起きたとして、それで農家が今までの値段と変わらない価格で消費者に農産物を提供するわけがなく、これのどこが安全保障なのかという話だ。そもそも食料自給率が40%しかなく、小麦などはほとんどを輸入に頼っている。いくら税金をつぎ込んでも土地の集約に使ったわけではなく、農家を個別に生活保障しているだけの税金の無駄遣いばかりで生産性は上がらなかった。そして世界的な凶作になれば手のひら返して値段を引き上げる。実際のところ、綺麗事の多くは既得権益者ほど使いたがるのが現状で、偽善を利用して自らを守ろうとしてくるのだ。
基本的に、多くのことはこのブログや金融日記に書かれていることとほぼ同じ内容で、それを更に深く噛み砕いて誰にでもわかるように書かれていて、最近のトピックを広く扱っているし索引もあるから、辞書として使うのもいいかもしれない。
ちなみに金融日記やアゴラで連発していた原発擁護のための大気汚染のデマは書かれていない。
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店頭で売られている農産物の価格から、日本の農家の人の時給を考えると約179円です。
これでは農業生産ができないので耕作放棄地が増えています。
おそらくこの先は国産野菜を買いたくても買えない時代が来ると思います。
スーパーで売られている農産物の価格は卸値に比べると高いので高く感じているだけだと思います。
たぶん農家の人から直接買えば店頭価格の3割から5割ぐらいの価格で買えるのではないでしょうか?
http://ameblo.jp/monogataridayo/entry-10703055769.html