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「ジョブズ伝」電子書籍でも登場 紙とほぼ同じ価格で

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2011/10/22 18:00
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 伝記の冒頭部分で描かれるのは、ジョブズ氏が1984年、思うように販売が進まない「マッキントッシュ」を売り込みに、アイザックソン氏のいる「タイム・ワーナー」のビルに訪れるシーン。アイザックソン氏が、ジョブズ氏の死の数週間前、最後の別れをした場面で締めくくられるという。

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 ダウンロード件数(11年上期)
書籍名件数
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2池上彰 伝える力1万4832
3ジャンボ旅客機 99の謎 for iPhone1万2574
4松下幸之助 道をひらく1万2030
5豊平文庫1万2016

出典:インプレス

 講談社は新刊とともに、電子版もヒットを期待する。これまで同社の最大のヒット作は、2010年5月に発売した京極夏彦氏のミステリー小説「死ねばいいのに」。ダウンロード数は「数万」(書籍販売局次長の藤崎氏)だった。ジョブズ氏に感心を持つ読者層は電子版を好む可能性も高いため、伝記は「過去にない数字を目標にしている」(同氏)という。

 新刊は上下それぞれ1995円(税込み)。2冊に分けて販売するのは「我々が把握している範囲では日本のみ」(講談社)という。電子書籍版は「紙とほぼ同額にする」(渡瀬氏)と強気だ。新刊の上巻の発売日は24日、下巻は11月1日にずれ込むが、電子版も上下刊の発売日に合わせて2段階で配信する。

 一方、米国ではアマゾンのサイトでハードカバーが17ドル88セント。同社の端末「キンドル」で読める電子版は11ドル99セントと安い。日本語版は支払う権利料や翻訳の手間も含め様々なコストがかさむとはいえ、新刊が上下巻あわせておよそ4000円と高価だ。電子書籍もほぼ同額とすると、他国との価格差はさらに広がる。渡瀬氏は「日本の読者の関心は高く、十分に売れる」とみており、ハードカバーを購入していた一部の読者を電子書籍に取り込む公算もある。

講談社・学芸局長の渡瀬氏(左)と書籍販売次長の藤崎氏
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講談社・学芸局長の渡瀬氏(左)と書籍販売次長の藤崎氏

 日本語の電子版は現段階でアップルの「アップストア」、紀伊国屋書店の「BookWebPlus」や凸版印刷系の「BookLive!」など10を超えるサービスを通じて配信する。アップルのiPadやiPhoneのほか、ソニーの「リーダー」を含め、主要メーカーのタブレットやスマホで読める見通しだ。

 調査会社のインプレスR&D(東京・千代田)は、2010年度の国内の電子書籍市場が前年比13.2%増の650億円、15年度には2000億円規模と予測している。ただ、有力コンテンツがコンスタントに登場するわけではない。「普通のハードカバーを電子書籍化しても、そう簡単には売れない」(日本電子出版協会の三瓶徹事務局長)のが現実だ。三瓶氏は、「出版社は著者の関連図書などがまとめて購入できるなど『電子書籍でしか得られない付加価値づくり』をすることが必要では」と指摘する。

 同協会には、出版社だけでなく著名作家がすでに加盟を表明している。将来は、著者が出版社を飛び越して配信できるインフラが整う可能性もあるほか、価格交渉力のあるアマゾンやアップルとどう対峙するかも、出版社にとって先送りできない課題だ。電子書籍版のジョブズ伝記がヒットすれば、電子書籍読者の裾野が広がる契機にもなりそうだ。

(電子報道部 杉原 梓)

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