DeNA社が新オーナーになった場合の新チームの顔として、あの新庄氏が指導者として電撃復帰する可能性が浮上した。2006年の引退から6年ぶりのユニホームで、低迷チームをドラマチックに再建する。
阪神時代から独特の言動でスター選手だった新庄氏は、米大リーグを経て日本球界に復帰した2004年から3シーズン、札幌に移転した日本ハムを派手なパフォーマンスや華麗なプレーで劇的に盛り上げ、北海道にその人気を定着させた。指導者経験こそないものの、チーム成績とともに観客動員も低迷する横浜を再生するには最適の人材といえる。
球団売却を目指す横浜の親会社・TBSHDは早くからDeNA社と交渉しており、このほど合意に達した。28日には正式に発表し、日本プロ野球組織に球団譲渡を申請する運びだ。
球団は、今季最終戦となったこの日の巨人戦後に尾花監督と1軍コーチ全員の休養を発表。来季の新体制に移行するための措置であり、その動きに平行して着々と新監督人事も進められていた。
9月に入ってDeNA側から監督候補として要請を受けた新庄氏は同社側と複数回の面接を重ねており、大筋の条件をクリアした。残すところ、契約年数を詰めるだけの最終段階まできているという。
現在はインドネシア・バリ島で暮らし、絵を描くなど悠々自適の生活を送っているが、8月5日に父・英敏さん(享年70)が食道がんで他界した際は緊急帰国して、9日、10日と福岡市内で営まれた通夜と告別式に参列した。しかし、新球団の面接などで多忙を極め、四十九日の法要には参加できなかったという情報もある。
9月1日にTBSのテレビ番組収録に臨んだ際には「勇気あるオーナーがいるなら、1年だけ監督をやりたい」と監督就任に意欲を見せていた。テレビの視聴者を意識してか、采配についても持論を展開。(1)メールアドレスを教えて『出してくれ』という選手を使う(2)直前10試合の打率がいい順に1番から並べる(3)たとえ4打数1安打でも打点を重視する−など、新庄氏ならではの奇抜なアイデアを披露した。
指揮をとってみたいチームについては「弱い球団のほうがおもしろい」としており、まさに4年連続最下位の横浜に合致している。
今後、12月1日のオーナー会議で12球団の4分の3以上の承認を得られれば、DeNAを親会社とする新球団が誕生する。DeNAの参入にはパ・リーグの複数球団が反対するとみられているが、これらの条件をすべてクリアしたとき、新庄新監督が誕生する。
(紙面から)