大阪府の橋下徹知事(42)は08年2月の就任から約3年9カ月、弁護士やタレントとして磨いた発信力を武器に、府民の高い支持を維持してきた。就任早々、大幅な歳出削減に取り組むなどトップダウンで行財政改革を進めた。
「皆さんは破産会社の従業員」。橋下知事は就任あいさつで職員に宣言。08年度で1100億円の収支改善の目標を示し、直属のプロジェクトチーム(PT)にわずか2カ月間で削減案をまとめさせた。対象は人件費のほか福祉や医療、文化にも及び、猛反発が起きたが、最終的に約650億円を削減するなど、ほぼ目標を達成した。
その後、攻撃の矛先は「外」にも向かった。国の事業に対して地元自治体が一部を負担する「国直轄事業負担金」制度について、「ぼったくりバーの請求書」と発言。世論の支持も受け、国も一部削減をのまざるを得なかった。
派手な先制攻撃で人目を引き、微修正を繰り返しながら落としどころを探る「橋下劇場」。時として大きな突破力になる一方、周囲の反発を招いて挫折したケースもあった。
当初は大阪市と水道事業統合を目指したが、府内の首長らの反発もあって決裂。咲洲庁舎(旧WTC)への本庁舎移転案は、府議会で2度にわたり否決された。約85億円でビルを購入したものの、耐震性の問題もあり断念に追い込まれた。【日野行介】
2011年10月22日