彼が、ソレこそが、人間のあるべき姿なのだと気づいたのは、若干二十二歳の時のことだった。
それは、あまりにも若すぎる悟りへの到達。
初めてその地に降り立った頃、彼は金の蝶があしらわれた黒い着物を私服のように当たり前のように着こなしていた。着物がマイブームだったのだ。
しかしそのころ、人類は裸こそがあたりまえで、彼以外の人類にとって彼は、自分達以外のなにものかだった。
だから、彼は衣を脱ぎ去った。唯一手元に残ったマイブームを捨て去った。
そうして荒野で一人全裸になったとき、自分のこれから歩む道を幻視した彼は、熱に浮かれたかのように恍惚とつぶやいた。
『分かりあうために、変わるんだ』
それは、最古の人類と名高い、言葉通じぬ彼等と語り合うために、彼等と同じ土俵に立とうという青年の決意の表れだった。
言葉も通じず、肌の色も肉付きも毛深さも、顔の造形さえ違う。なにもかも違う彼等との最初の出会いは、どれだけ時が過ぎようと鮮明に思い出せるだろう。
そうして男の戦いは、一人で始まった。
それはたぶん、寄り添う者のいない孤高の旅路の始まりだった。
※実験作的な作品
短いと思うでしょうが、とりあえずプロローグのインパクトは、所見で人を引き付ける魅力があったかどうか、感想がほしいです。
レギオスのほうも書いてますけど、原作がめまぐるしくて今は止めてます。