2011年8月23日 13時21分 更新:8月23日 13時45分
【ロンドン会川晴之】リビアの反体制派幹部は22日、反体制派を積極的に支援しなかったロシア、中国などをリビア国内での原油生産から排除する考えを表明した。その一方で、北大西洋条約機構(NATO)軍でリビア攻撃の中核を果たした英国、フランス、イタリアなどの企業は歓迎する意向を示した。ロイター通信が伝えた。中露両国は、リビア空爆に道を開いた国連安保理決議で棄権している。
リビアは日量160万バレルの原油を生産、世界の生産シェア2%を占めるアフリカ有数の産油国で、欧州向けが輸出の8割を占めていた。しかし、半年に及ぶ混乱で、生産はほぼ停止、輸出も止まっている。油田やパイプライン、積み出し港の状況など不明な点が多い。リビアの反体制派は、半年以内に生産再開、1年半で混乱前の水準まで生産が回復すると主張しているが、専門家は「回復まで2~3年」と見る人が多い。
一方、反体制派が首都トリポリをほぼ制圧したことを受けて、リビアで原油を生産していたイタリアの石油・ガス大手「ENI」の株価が7%上昇したのをはじめ、フランスのトタル、オーストリアのOMVなどの株価が軒並み急騰した。
ロンドン市場では、リビア産原油の供給再開への期待が高まったため、欧州の原油取引の指標となる北海ブレント原油先物価格は、一時、前週末より3ドル以上安い1バレル=105・15ドルまで下落した。
北海ブレント価格は、「アラブの春」で、エジプト情勢が緊迫した1月末に、2年半ぶりに100ドル台を突破、以後、リビア情勢の緊迫化を背景に4月には127ドルまで高騰した。