カウンターパートと減価償却
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三橋貴明の新刊、続々登場!
チャンネルAJER更新しました。
『アメリカとTPP(前編)①』三橋貴明 AJER2011.10.18(1)
『アメリカとTPP(前編)②』三橋貴明 AJER2011.10.18(2)
今週と来週は、TPPに絡めて「TPPとアメリカ」というタイトルでお送りいたします。前回同様に歴史的な話になります。前回があまりにも評価が高かったため、プレッシャーです。
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10月31日(月)18:30から、赤坂シュビア・シーブルーで「『2012年』(徳間書店)出版記念パーティ」
を開催致します。(本イベントは後援会員、支援団体、及びその関係者の皆様限定です)
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11月7日『「日本経済ダメ論」のウソ』(イースト・プレス)出版記念 三橋貴明さん×上念司さんトーク&サイン会
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11月10日【平成23年度 名城大学都市情報学部 公開講座 第二回「東日本大震災を考える」 】
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現在の世界経済(日本、アメリカ、欧州、中国など)の各経済データを取り揃え、現状を分析し、2012年の世界がどのように動くかについて記した300ページを超える大作「2012年 大恐慌に沈む世界 甦る日本(徳間書店)
」、発売開始しました!
昨晩、人気ブログランキングのポイントが、ついに25万ポイントを突破しました(初めてだと思います)。皆様、変わらぬクリックを何卒よろしくお願い致します。
本日は21時から、TOKYO MXの「ゴールデンアワー(ゴールデンサミット)に出演いたします。http://www.mxtv.co.jp/gold/index.php
国債について、財務省が絶対に知られたくないあれやこれやを、ペラペラとフリップ付で解説してしまいます。
実は先日、本日(20日)の21時からの出演依頼を日本テレビから受けました。先にMXの出演が決まっていましたので、丁重にお断り申し上げたのですが、テーマはTPP討論だったそうです。もしかしたら、本日の日テレ21時からH氏が出演されるかも知れません。
いずれにせよ、テレビ局側は大手紙のようにTPP推進一色というわけではないように思えます。
週刊現代10月29日号(今、売っている号)のP40「ギリシャ、この腐り切った国の実体」に三橋が登場しております。ユーロ危機以前は、これほどまでにギリシャのマクロ経済について精通することになるとは思ってもみませんでした。
ギリシャ、アイルランドの現状等につきましては、本日(amazonは明日?)発売の徳間書店「2012年 大恐慌に沈む世界 甦る日本」
で詳しく取り上げています。amazonで物凄い順位になっています。ありがとうございます。
徳間書店の書籍なので、今回もamazonキャンペーンを打つそうです。内容は「三橋貴明、高橋是清を語る」になります(収録は本日)。上記の音声ファイルをダウンロード可能になるキャンペーンです。ダウンロードする際にはamazonの注文番号が必要になりますので、よろしくお願い致します。
さて、週刊現代に話を戻しますが、上記号の表紙に「世界大恐慌の可能性」という煽りがあります。そして、冒頭で「緊急特集 ヨーロッパ発「世界大恐慌」の可能性が高まる 「第2のリーマンショック」」といった特集が組まれています。
その冒頭の仙谷氏の発言が大変面白いというか、情けない意味で笑えましたので、ご紹介。
『(以下、週刊現代から引用)
「ヨーロッパがはじければ、アメリカに火の粉が飛ぶ。アメリカがダメになれば次は中国だ。いまは1930年代に似ているな。何が起きるか? 戦争だよ」
「金融庁の官僚に、『数ヶ月で1ドル=100円台に暴落することもあるから気をつけろ』って言っておいた。役人は『まさか』って言ってたけど、『お前らは甘い』って言ってやったよ。メガバンクが2、3行潰れるかも知れんぞ!」
民主党の仙谷由人成長会長代行はオフレコで、世界経済の先行きについてこう言った。(以下略)』
前半はいいんです、前半は。戦争に突入するとは言いませんが、確かに現在の世界経済の状況は1930年代に似ています。
問題は、後半。アメリカがダメになったなら、普通に考えて今以上の円高でしょうが・・・・。そりゃあ、金融庁の官僚さんも「まさか」と答えますよ。と言いますか、本音では「アホか!」と言いたかったのではないかと、勝手に推測しています。
「アメリカに火の粉が飛ぶ! 大変だ! 円が暴落するぞ!」
では、意味が分かりません。「アメリカに火の粉が飛ぶ! 大変だ! 超円高になるぞ!」ならば、まだ分かるのですが。
そもそも、恐慌の影に怯え、FRBを含めた各国の中央銀行が金融緩和を拡大している環境で、日本銀行が相変わらず「通貨の信任」とか言っている状況で、円安になるはずがないでしょうに・・・。
何というか、仙谷氏や次に出てくる興石氏など民主党の首脳部の方々は、ビジネスの経験が全くないためか、為替レートや経営の基本すら理解していないように思えてなりません。円が暴落しているということは、どこか別の国の通貨の為替レートが上がっているということになります。
「日本が対米貿易黒字のときは、アメリカが対日貿易赤字」
「日本が対ドルで円高なら、アメリカは対円でドル安」
「日本が対米で対外純資産を増やしたら、アメリカが対日で対外純負債を増やした」
↑このように、経済には「カウンターパート(対応相手)が必ず存在します。民主党の政治家や、跋扈する自称評論家軍団は、本当にこれらを理解していません。だからこそ、
「お金は使うと、消える!」(単にカウンターパートの企業にお金が移っただけ)
「日本の資産家が日本円の資産を海外に移し、国債を買うお金がなくなる!」(日本円は日本国内でしか使えないため、資産を海外に移す際には必ず両替が発生する。両替してくれたカウンターパート(普通は銀行)の手元に日本円は残り、デフレならば国債に、好況ならばそれ以外の分野に投資されるだけ。日本円は日本国内から出て行けない)
などと言った、
「お前、頭マジで大丈夫かよ?」
と本気で心配したくなるような珍説を次々に生み出してくるわけです。
もう一つ、民主党の人たちが理解していないことがあります。それは「減価償却」の考え方です。
民主党首脳陣の多くは教師(日教組)、官僚、弁護士、市民運動家、労働組合幹部などなど、企業経営と無関係な職業が前職の方が多いです。企業経営者の方であれば、以下の話は一発でご理解されると思います。
設備投資でも公共投資でも同じですが、「投資」とは費用を一年で計上したりしません。例えば、2011年に100億円かけて工場を建設したとします。すなわち、企業が100億円の設備投資をしたわけです。
100億円かけて建設した工場は、今後十何年も(あるいはそれ以上の期間)、生産活動に活用され、収益を上げ続けます。すなわち、今、投資することで、将来的にベネフィットを得続けることができるわけです。
というわけで、100億円かけた工場の建設費用(100億円)を一年で費用計上することはできません。何年、何十年もかけ、少しずつ費用計上し、投資額を償却していくことになります。すなわち、減価償却です。ちなみに、一般的な工場は二十年から四十年で償却するようですね。四十年償却とすると、100億円の工場建設投資に関する費用計上は、毎年、2億5千万円ずつということになります。
100億円の工場建設の投資金額は、建設時点で支払います(その月に払う企業はないでしょうが、あくまで例です)。工場を建設した会社からは、初年度に100億円の現金が消えるわけですが、費用計上はわずかに2億5千万円しかできません。それで、いいのでしょうか。
いいのです。工場建設などの大規模投資は、普通は銀行などから資金調達をして支払います。銀行返済も長期間かけて行いますので、企業は工場建設という投資から得られる利益と減価償却費、及び返済負担と金利支払いのバランスを考えて投資判断をするということになります。
上記のような「投資」「減価償却」といった考え方は、はっきり言って常識の範疇なのですが、この辺りの感覚が民主党首脳部にはかけているようで。
『TPP、来月中旬までに結論=復興債60年償還に否定的-輿石氏
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2011101600147
民主党の輿石東幹事長は16日、山梨県昭和町で記者会見し、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加問題について「(党内で)精力的に議論して、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に野田佳彦首相が一つの考えを持って行く。また、そのようにしないといけない」と述べ、11月中旬のAPECまでに党内合意を目指す考えを明らかにした。
民主党内にはTPP参加への根強い反対論があるが、輿石氏は「中身のある議論をすれば必ず合意できる」と述べた。
一方、東日本大震災の復興財源を賄う復興債に関し、自民党が償還期間を政府案の10年から建設国債並みの60年とするよう求めていることについて、「そこまで延ばして果たして責任が持てるか」と否定的な考えを示した。』
いや「責任を持つ」とか持たないとかそういう話ではなく、長期間、日本国民が使用するインフラの投資費用を、長期間かけて償還するのは当たり前でしょ? という話です。
そもそも何のために建設国債があり、なぜ建設国債が60年償還なのか理解しているのでしょうか、興石氏は。いや、もちろん理解していないからこそ、上記のような「家計簿的」な発想で物を言うのでしょうけれども。
責任云々言うのであれば、現時点で復興をおろそかにし、かつ現在に生きる国民だけに過剰な負担をかけ、国民経済の成長を妨げ、供給能力が崩壊した日本経済を将来世代に残すことのほうが、余程、未来の日本国民に対して無責任です。
上記のような話(少なくとも「減価償却」について)は、民主党や一部左派政党以外の政治家にとっては「常識」だと思います。
とはいえ、企業経営にタッチしたことがない一般国民は、カウンターパートの話も、減価償却の話も、結構「ええ?」という感じだと思います。わたくしは別に、国家経営が企業経営と同じ土俵で語られるのを好ましいとは思わないのですが、それにしても「家計簿」的な感覚で語られるのは最悪です。そして、現在の日本の新聞社の記者たちは、簿記も財務諸表も分からず、BSの意味すら知らず、GDPや国際収支の中身や関連性について考えたこともなく、結果的に「家計簿」として国家経済を語っているわけです。
挙句の果てに、民主党の仙谷氏や興石氏のような政治家たちや、国民の多くを、
「そうだよな。家計簿で考えたらそうだから、きっとそれで正しいんだ」
と納得させ、根本から間違った国民経済の認識が社会に共有されてしまったわけです。
とはいえ、問題は単に「情報の問題」ですので、正しい情報を発信することで修正していくことができると考えているわけです。というわけで、三橋は今後も唖然とするようなペースで書籍を出し続け(色々なアプローチをします)、各種のチャネルで情報発信を続け、早急に日本国民の間に蔓延した「情報の歪み」を正すことに貢献したいと考えているわけです。
そうしなければ、週刊現代や「2012年 大恐慌に沈む世界 甦る日本
」(徳間書店)ではないですが、本当に「第二次大恐慌」に世界経済が突入しかねないのです。それを食い止めることができる国家は、別に日本だけではありませんが、だからと言って我々日本国民が何もしなくていいという話にはならないと思います。
「民主党の発想は『家計簿的』」につくづく納得されてしまった方は、
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