第十二話 リュウトの告白
川に着いた一同。
『ヘイヘイ、俺の子猫ちゃん達はまだかい?』
「ダンテ、少しは落ち着けよ……それに約一名は違うだろ?」
「先輩の水着……」
「リュウト、お前も帰ってこい……って鼻血が、落ち着け妄想だけでそれなら本物見たら出血多量で死ぬぞ」
『先生……後生だ、アインハルトの………水着はそいつの夢…なんだよ……何とかならねえのか!?』
「俺がお前等を何とかしたいわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
男性陣は早く着替え終わったので女性陣を待っているのだが、煉は女性陣の水着姿がみたくて興奮する(デバイスなのに)ダンテとアインハルトの水着姿を妄想して鼻血を出しながら川原でボケーッとしているリュウトに振り回されていた。
「煉く~ん!!! リュウトく~ん!!!ダンテ~」
煉が鼻血を垂らしながら川を眺めてボケっとしているリュウトを介抱していると、着替えが終わった女性陣が川原にやって来た。
ヴィヴィオが元気に煉とリュウトとダンテの名前を呼びながらこちらに走ってきており、コロナやリオ、ルーテシアもそれに続いている。
ノーヴェとアインハルトは、彼女たちの後ろをゆっくりと付いてきていた。
「お待たせ~」
「ダンテ~♪ ほらほら、私の水着姿どう?」
『おう、良いねー、今夜は俺とどうだいレディ?』
「白昼堂々、セクハラ発言してんじゃねえよ!」
『何だ…無粋な野郎だぜ』
「何か?俺が悪いのか?」
「うん!」
「うえぇぇぇぇぇ!ルーさんが答えるのそこぉ!?」
煉がダンテとルーテシアの会話に突っ込むと逆に二人に弄られる。
どうやらダンテとルーテシアは意気投合したらしい。
「だ、ダンテ……私の……水着……どうかな?」
『………ま、まぁいいんじゃないか…露出も少ないし……』
「ふぇぇぇぇぇ、またダンテ!? しかも今度はツンデレ演出してんの? 何? みんなは、こんなのが良いの? 俺は無視? ダンテが俺のデバイスじゃなくて…俺がダンテのデバイス扱い!?」
「煉……今日は一段と突っ込みが鋭い!」
「シャラップ!リオは余計な事を言わないで!」
ルーテシアの計画なのかコロナもダンテに水着の感想を聞く。
煉は突っ込み過ぎて肩で息をしている。
「お、お待たせしました……リュウトさん…そ、その、どど、どうですか?」
「あ…」
アインハルトは黒色の水着に着替え、パーカーを羽織った姿だった。
碧銀の綺麗な髪も、今日は少し結い方が違っており、彼女にいつもとは違った魅力を作り出している。
「あの、変じゃ……ないですか?」
「いやいやいやいや!! 全然変じゃないし!! めちゃめちゃ似合ってるから! 可愛いから!! 本当にゴメンなさい、在り来りな感想しか思いつかなくて!!」
「そ、そこまで言われると……ちょっと恥ずかしいです……」
アインハルトは恥じらいながら、リュウトは若干テンションが暴走しそうになりながら、微笑ましいやり取りをしてから、お互いに気まずそうな、それでいてなんとも言えないムズ痒い空気を作り出した。
が…………
「ちきしょうぉぉぉぉ、俺は完全に無視かよ、ああ、そうですか、もう良い……鬱だ死のう……ダンテ…セットアップ」
『オイオイ、待てって相棒…冗談だろ?』
「お父さん先立つ不幸をお許し下さい」
「待てコラぁ!」
煉が暴走し自分にダンテを刺そうとしてリュウトが止めに入る。
「離せやぁ、リュウト!」
「お前は何してんだよ」
「うるせぇ、ほっとけ……お前はいとしのアインハルトさんと一生イチャついてろや、ボケぇ!」
「何でそうなんだよ!」
「じゃあ何か? アインハルトさんの事が嫌いだと?」
「そんな訳あるか! 出来れば彼氏彼女の関係に……って!?」
この時、初めてリュウトは気付いた………煉に計られた事に………アインハルトの方を見ると顔を真っ赤にしてプルプル震えている。
そして
「あっ、先輩!?」
「ほれほれ、早く追いかけろよ、リュウト」
「煉……覚えとけよ」
そのままリュウトはアインハルトを追いかけて行く。
「やってくれたわね……煉」
『まさか、俺等を出し抜くなんてな、まいったぜ』
「俺がただ弄られる訳ねえだろ……まぁ、後はなる様にならぁね」
「しゃーねー、アインハルト達が帰って来るまで遊ぶか」
「「「「はーい!」」」」
すると
「あ、あの……煉くん……私のは……水着はどうかな?」
ヴィヴィオが煉に水着の感想を尋ねる。
「はぁ?、何で俺に? ヴィヴィオによく合ってるな、可愛いぜ」
「うん…♪ あ、ありがと」
「何だ……ヴィヴィオ、顔が赤いぞ、 風邪か?」
「大丈夫!」
ヴィヴィオは走り去って行く。
「変な奴」
そのコメントを聞いた女性陣は
「おい、マジかよ?」
「う、嘘だよね?」
「煉くん」
「ヴィヴィオ……苦労するわね」
呆れるばかりだった。
一方こちらはアインハルトとリュウト。
「待って下さいよ、先輩!」
「い、いやです!」
何故か壮絶な追い駆けっこが開始されていた。
「仕方ない、先輩……ゴメンなさい、クレア…天の鎖を」
『うん、エルキドゥ』
「きゃ、鎖?」
アインハルトは突如現れた鎖にがんじがらめにされる。
「すいません、こうでもしないと先輩が逃げ続けるんで……」
プイッ
「あの、先輩?」
プイッ
リュウトはアインハルトと顔を合わせようとするがソッポを向かれてしまう。
「あの、先輩……顔を合わせて欲しいんですけど?」
「恥ずかしいから嫌です」
(か、可愛い……今すぐ抱き締めたい…待て俺…まだ先輩とそんな関係じゃない……でも…ええい、鎮まれ俺の煩悩)
「あの、リュウトさん?」
「くはぁっ!」
余りに一人でブツブツ言っているリュウトを心配したアインハルトはリュウトを見つめ声をかける……ただし上目遣いでリュウトに一万の精神ダメージ。
「先輩……それは反則です」
「?」
「ゲペラっ!」
今度はアインハルトの小首を傾げる攻撃……またもリュウトに精神ダメージ。
「先輩……お願いします、俺に断空拳を一撃打ち込んで下さい!」
「は、はい」
アインハルトは言われた通りにリュウトに断空拳を打ち込む。
「あ、あの、大丈夫ですか?」
「あ、ありがとうございます、落ち着きました」
「そうですか?」
「………………」
「………………」
(何をやってるんだ俺……告白しろよ…最早…会話すら出来て無いじゃないか!)
中々、言い出せないリュウト……すると
「あ、あのさっきの事、何ですけど……じょ、冗談ですよね?」
「そ、そんな事は無いです、先輩に彼女になって欲しいくらいで」
「わ、私なんてそんな大したものじゃありませんよ」
「いやいやいや、先輩は凄い可愛いし性格も、清楚な感じだし、しっかり者で優しい……』
リュウトはパニックになり良く分からない褒め方をしている。
クスっ
「えっと、何か粗相を」
「いえ、何となくリュウトさんを見てから可笑しくて……宜しくお願いします」
「え?」
「私で良ければお願いします、ただし名前で呼んで下さいね」
「あっ、は、はい、先輩じゃなくて…あ、アインハルト!」
「はい、それではみんなの所に帰りましょう、リュウトさん」
「そ、そうだな、アインハルト」
リュウトが告白中の森の中
シュッ、ザシュッ、スパッ
真紅のロングコートを翻しエリアサーチの魔力球を全て切り裂く煉(大人)の姿があった。
「オイオイ、随分と数があったな、叔母達は野次馬根性だし過ぎだろ? そんなんだから、結婚出来ねぇんだよ!」
『何も此処までする必要は無いだろう?』
「あの馬鹿はともかく、覇王は繊細だからな、たく、貸し2だぜ、ボーイ&ガール」
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。