東日本大震災
東日本大震災に関する情報や復興を目指す被災者の様子を伝える。
【放送芸能】「震災時のメディア」調査報告と議論 「役立った」ラジオに高評価「東日本大震災時のメディアの役割に関する総合調査」報告会=日本民間放送連盟(民放連)主催=が二十一日、東京都内で開かれ、被災地で評価が高かったのはラジオだったことが明らかになった。被災地のメディア関係者はディスカッションで「被災地の状況は震災直後と変わっていない」と訴え、息の長い取り組みが必要なことも浮き彫りとなった。 (早川由紀美、宮崎美紀子) 調査は、震災時にメディアは何を伝え、ユーザーにどう受け止められたかなどを探るために実施された。その結果、被災地では、震災直後の情報収集の手段として、さまざまなメディアの中でラジオの評価が群を抜いて高かったことが、民放連研究所の調査で分かった。 仙台市などの仮設住宅に暮らす五百人の調査では、震災当日に役に立ったものとしてラジオを挙げた人は43・2%で一番多かった。家族や隣人など(40・4%)、自治体・警察・消防(10・4%)に続いて四位がテレビ(10・2%)だった。三日後〜一週間後では、ラジオ(58・6%)、家族や隣人など(55・0%)、新聞(34・0%)の順となっている。 被害の程度が比較的軽い人が中心のネットユーザー調査(2268人)でも、震災当日役に立ったのはラジオとする人が66・3%に上るなど、評価が高かった。 木村幹夫主任研究員は「ラジオはもともとリスナーとの距離が近く一体感の強いメディアとされてきた。その特性が周囲の人との会話と同じような安心感や信頼感をもたらした」と分析している。 ◆まだ終わっていない 被災地局 情報を伝え続ける報告会の後半で行われたパネルディスカッションには、ラジオ福島、宮城県登米市のコミュニティーFM「H@!(はっと)FM」、岩手県大船渡市の地方新聞「東海新報」、TBS系列の東北放送、NHKやTBSなどの番組をインターネットで同時再送信した「ユーストリーム」が参加した。 ラジオ福島は地震発生から三百五十時間の生放送を行った。伊藤直樹・制作報道部長は「『南相馬の友人が孤立して動けません』などリスナーからの情報は片っ端から伝えた。ラジオは“あなたたち”ではなく、“あなた”に語りかけるメディア。アナウンサーはゆっくり語ることを心掛けた」と話す。 東海新報は震災翌日から新聞を発行、社員が自ら避難所に無料で届けた。身元不明者の特徴も掲載した。「そこまで出すのかと非難も受けたが、みんなそれを知りたがっていた」と佐々木克孝編集局長。まだ多くの人が行方不明だった三月中はあえて美談は掲載しなかったという。「また、あのような津波が来るかもしれない。あなたたちが書くことが記録になる。とにかく伝え続けてくれと、避難所で言われたことが励みになっている」とも。 ラジオ・テレビ兼営局である東北放送の佐々木一則報道制作局長は「停電でテレビは十分に役割を果たせなかったがラジオは一定の防災、減災の役割は果たせた」。地震に対する訓練は行ってきたが、燃料不足で一時期は放送の継続が危ぶまれ、「備えがあっても憂いあり」と課題を挙げる。 「ユーストリーム」には、地震発生直後に一ユーザーからNHKの放送がアップされた。本来は違法だが、非常時だけに削除の判断が難しく、NHKに連絡したところ正式な再送信が決まり、最終的には十数のテレビ、ラジオが利用した。今後は放送局の担当者との連絡体制を整えたいという。 3・11から七カ月余。被災地メディアにとって震災はまだ終わっていない。「はっとFM」の斉藤恵一代表兼局長は、こう訴える。「被災地はあの日のまま。復興は見えません。私たちは、まだまだ仮設住宅の人に南三陸の情報を伝えていく」 PR情報
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