カダフィ大佐死亡のニュースは、反政府デモに対する厳しい弾圧が今も続く中東・シリアの情勢にも影響を及ぼしそうです。
チュニジアやエジプトの反政府デモが飛び火したシリアでは、ことし3月以降、アサド大統領の退陣を求める反政府デモが続き、これに対して軍や治安部隊が激しい弾圧を行い、国連によりますと、これまでに3000人以上が死亡したということです。内外の批判を受け、アサド政権は憲法改正に向けた委員会を設けるなど、民主的な改革を進める姿勢も見せていますが、反政府デモに対しては強硬な姿勢を崩しておらず、最近も首都ダマスカスの郊外や中部のホムスなどで住宅地などを攻撃し、多数の死傷者がでています。シリア政府は、報道機関の入国を認めていないため、国内の様子をうかがい知ることはできませんが、隣国・ヨルダンの首都アンマンでは、カダフィ大佐死亡のニュースを聞いたシリア人がシリア大使館の前でデモを行いました。人々はカダフィ大佐とアサド大統領が握手している写真を掲げ、カダフィ大佐に続いてアサド大統領も追放されるべきだと訴えました。参加した男性の1人は「カダフィ大佐とアサド大統領は、どちらも拷問や大量殺りくで国民にひどい仕打ちを行い、兄弟のようなものだ。リビアで起きた出来事は、必ずシリアにも訪れる」と話していました。