山形のニュース

避難園児転入が山形で急増 園側、対応追いつかず

山形市内の私立幼稚園。避難に伴う園児の転入が急増している

 福島第1原発事故で福島県から約1万2000人が避難している山形県で、避難に伴う幼稚園児の転入が急増し、幼稚園側の対応が追いつけないでいる。各幼稚園は教員増などの対応を迫られているが、「財政的な余裕がない」「年度途中で人員確保が困難」といった難題に直面。やむを得ず園児の受け入れを断る幼稚園もあり、行政への支援を求める声が出始めている。

 県学事文書課によると、1日現在、避難に伴う幼稚園児の転入数は県全体で430人。避難者が多い山形市や米沢市に集中し、うち山形市内の私立幼稚園に179人が転入している。8月1日時点では65人だったが、夏休みが明けてから急増し、2カ月で約2.7倍になった。
 山形市の鈴川幼稚園(園児191人)は震災後、避難に伴い24人の転入を受け入れた。横沢正巳園長は「もともと転勤族が多い地域で、毎年10人ほど年度途中に転入を受け入れているが、こんなに入園者が増えたのは初めて」と話す。
 同幼稚園は臨時の教員1人を採用して対応しているが、横沢園長は「年度途中に人手を増やすのは容易なことでない」と内実を明かす。
 多くの幼稚園が指摘するのが「新たな人件費の支出が大きな負担になる」「年度途中からの短期雇用では教員を確保しにくい」といった問題点。緊急時避難準備区域が解除になった中、転入園児がいつまで通園するか見通しが立たず、職員採用に慎重にならざるを得ない一面もあるようだ。
 市内のある幼稚園は、教員を増やせないため園児の転入を断っている。園の関係者は「教員たちはぎりぎりの状態で働いており、これ以上園児を受け入れることはできない。申し訳ないとは思うが仕方ない」と漏らす。
 同市の東原幼稚園園長で、市私立幼稚園協会の粟野桂子理事長は「制服を貸与したり、教材費を免除したりと、各幼稚園は避難者の負担を減らそうと努力しているが、体力にも限界がある」と窮状を訴える。
 園児と同様に児童生徒が増えている小中学校に対しては、県教委が教員増などで対応している。一方、幼稚園に関して県は、避難園児の保護者に支給する就園奨励費を予算化しているが、幼稚園側への支援制度は設けていない。県は「国の動きを見ている状況」(学事文書課)と説明する。


2011年10月19日水曜日


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