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2011.10.21

 リビア国民評議会が「解放宣言」へ、国民に結束呼び掛け 

カテゴリ 中東出典 ロイター通信 10月21日 電子版 
記事の概要
10月20日、リビアの元最高指導者カダフィ大佐の死亡を受けて、国民評議会のジブリル首相は「新たなリビアの始まりだ」と宣言した。

リビアの元最高指導者カダフィ大佐が20日、潜伏先の出身地シルト近郊で拘束され、同国を暫定統治する国民評議会(NTC)によると、頭部に銃弾を受けて死亡した。

遺体は21日にも非公開の場所に埋葬されるという。

40年以上にわたる独裁政権を続けたカダフィ大佐の死亡を受け、NTCのジブリル首相は「新たなリビアの始まりだ」と宣言。

新たな国づくりに向け、国民に結束を呼び掛けた。当局者によると、22日には正式な「解放宣言」が発表され、選挙の実施に向けて動き出すことになる。

オバマ米大統領は、カダフィ大佐の死亡により「強権支配の時代は幕を閉じた」と表明。

ホワイトハウスで記者団に対し「リビア国民にとって長く苦しい時代が終わりを告げた。

国民は新たな民主国家において、今こそ自らの運命を決める機会が与えられている」と語った。

カダフィ大佐が死亡したとのニュースが流れると、リビア国内各地では歓喜の声が上がり、祝砲を放つ兵士の姿も多く見られた。

北大西洋条約機構(NATO)による軍事介入で主導的な役割を果たしたフランスのサルコジ大統領は、NTCによるシルト制圧について「リビアに民主的システムを確立するプロセスの始まりだ」と評価。国民の「基本的自由が保証された」新たなリビアの国家像に期待を示した。

しかし、リビアは過去8カ月にわたって内戦状態に陥っていただけに、「カダフィ後」の適切な武器の管理や部族間の対立問題など、解決しなければならない課題も山積している。
コメント
これから、いよいよ新生リビアの国作りが始まる。

カダフィ政権が42年間も続いたため、今では選挙を知らない国民が大分部である。

また国民評議会のメンバーも、元カダフィ政権にいた者、亡命先から帰国した者、西欧的なデモクラシーを訴える者、イスラム教の国家樹立を考える者など千差万別である。

さらに部族主義が強く影響し、原油産油地と非産油地と問題もある。新生リビアが克服しなければならないのは山ほどある。

その一つ一つが、もし対応を間違えれば、リビア内戦に突入する火種を含んでいる。

そのため国内の治安が安定するまで、外国の軍隊に駐留してもらう方法もあるが、宗教が違う国では内紛の元にもなりかねない。

やはり時間がかかっても、自らの力で部族委主義から脱して、民主的な国民主義に脱皮するしかないようだ。
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