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うつ病患者 飲酒に問題 一般の人より高い傾向

(2011年10月16日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

日本では初 調査結果発表

 うつ病などで精神科に通院する患者は飲酒に問題を抱える傾向が高いとの調査結果を国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所(東京都小平市)の松本俊彦医師(44)が14日、名古屋市中村区で開かれたアルコール・薬物依存関連学会合同学術総会で発表した。うつ病患者の飲酒実態に関する研究は欧米では数多いが、日本では初めて。うつ病対策、自殺防止対策を進める上で重要なデータになる。

 松本医師らは2009年12月、全国5カ所の総合病院精神科や精神科クリニックにうつ病性障害(うつ病、うつ状態など)で通院する患者775人(男284人、女491人)を対象に、飲酒習慣などを問う「AUDIT」というスクリーニングテストを実施した。

 一般住民2557人を対象に同じテストを使って行われた05年の全国調査の結果と比較。40点満点のテストで20点以上の「アルコール依存症の疑いがある飲酒」は、うつ病性障害の男性8.8%(一般群1.6%)、女性4.7%(同0.2%)と男女とも顕著に高かった。スコア10〜19点の「健康被害の可能性が高い飲酒」も、うつ病性障害の男性18.5%(一般群15.2%)、女性11.2%(同2.1%)と、女性で顕著な差が見られた。

 働き盛りの40〜50代で、うつ病性障害の男性では「アルコール依存症の疑い」が13.4%、「健康被害の可能性が高い」が18.7%と、他の年代に比べ高かった。

 松本医師は「一般精神科の通院患者に相当な割合で問題飲酒が認められた。日本では、アルコール依存症の治療は、きわめて少数の医療機関で行われており、一般精神科の関心を高めることが大切」と話す。

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