仙台市が東日本大震災から復興を目指す象徴にしようと、中国にジャイアントパンダの貸し出しを求めているプランが17日、明らかになった。奧山恵美子市長は「震災の被災地で暮らす子供たちを勇気付けたい」と訴えるが、飼育には億円単位の出費が必要になるとみられる。復興の象徴か、無駄遣いか--。市民の賛否も割れている。【平元英治】
奥山市長は17日昼、市役所で記者団の取材に応じた。市長によると9月2日、日中友好協会の加藤紘一会長(元自民党幹事長)とともに中国の程永華駐日大使と会い、貸し出しを要請した。その後、中国側からの連絡はないという。
愛らしさで人気の高いパンダだが、受け入れには多額の費用がかかる。東京都は2月に上野動物園(台東区)へ迎えたパンダ2頭のため、保護協力資金として中国の野生動物保護協会に年間95万ドル(約7300万円)を支払っている。
仙台市が借り受ける場合、冷暖房付きの専用獣舎の造成も求められる。00年につがいを受け入れた神戸市立王子動物園では、同市が3億円超かけて獣舎を建てた。奥山市長は「餌代などは準備するが、都のような金額は準備できない」と述べ、経費をできるだけ抑えたい意向を示した。
市民の反応もさまざまだ。青葉区の女性会社員(35)は「パンダをテレビで見る度に『かわいい』と思う。実現すれば市のシンボルになる」と期待する。一方、若林区の農業男性(66)は「震災で住居を失った市民は多い。市がパンダについて考えるのは、市民の住まいを整えてからにしてほしい」と冷ややかだった。
毎日新聞 2011年10月18日 地方版