ただいつもと同じ毎日が過ごせると思っていたんだ。母と父と三人で平穏に暮らせると思ったんだ、あの日までは………
「鬼ごっこやろうぜ!!」
五人の子供達の中の一人が声を張り上げ手を挙げながら遊びを提案した。
「よっしゃぁ!やろうぜ!」
「うん、やろう!」
「誰が鬼やる?」
「ジャンケンしよう!」
子供達は続いて手を出してジャンケンをしようとした。急に一人の子が
「クレイの手の痣ってなんかの形っぽいよな」
クレイと呼ばれた子の手の甲には鳥の様な形の痣があった
「まぁ確かにな、生まれつきだから気にしないけど、それよりするなら早くしようぜ!」
「それもそうだな!」
ジャンケンを再開して鬼が決まり鬼ごっこが始まった、いつも変わらず終わると思っていたのだがクレイはなにか違和感を感じていた。
(なんだ?手が痛い……痣の部分が熱い)
クレイは痛みが段々と増していきその場にうずくまってしまった。子供の一人がその異変に気付き
「クレイ?!どうしたんだ?!どこか痛いのか?!」
「手が………うっ」
慌てて駆け付けてクレイの名を呼びかけるがクレイは痛さの余り声を出せずにいた。手の痛みが一際増すと
「う、うがぁぁぁっっっぁあぁぁ!!!」
「クレイ?!」
「クレイ!!」
「しっかりしろ!!」
「なにがどうなったんだよ!!」
叫び声を上げさらにうずくまっているのを見て子供達はそれぞれ呼びかける。
「……………」
「クレイ?」
静かになりゆっくりとクレイは顔上げた。
「たく、急に……叫び声を……」
一人の少年の声はそれ以上続かなかった
「ゴメンゴメン、なんか手が急に痛くなってね………どうして固まってるんだ?」
「お前………その腕……」
「腕?………えっ!?」
クレイは謝りながら立ち上がりみんなが呆けているのを見てなにがあったのが聞くと一人の子供が答えるとクレイは何だ?と思いながら自分の腕を見ると驚愕した。そこにはいつも見慣れた腕でなかった、腕の形は人間だった、それだけだと思ってた……だが違っていた………
腕はびっしりと鳥の羽、つまり羽毛が生えていた。クレイは慌てて子供達を見ると
「ひっ!」
子供達は一歩下がった。
「ちがっ、これは……」
「ひぃぃぃ!」
「化け物!!」
クレイが一歩踏み出す、子供達は蜘蛛の子を散らす様に逃げていった。そこには呆然とするクレイだけしかいなかった