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国会議員の評判は、さんざんだ。いまに始まった話ではないが、東日本大震災このかた、ますますひどくなった。先日の復興関係の参院中継を見た読者から、「まるで予算獲得の陳情合戦[記事全文]
就任から日の浅い野田首相と玄葉外相が、国際会議を除く初めての外国訪問先として、そろって韓国を選んだ。かけがえのない隣人同士であり、日本は韓国を重く見ている。そんなメッセ[記事全文]
国会議員の評判は、さんざんだ。いまに始まった話ではないが、東日本大震災このかた、ますますひどくなった。
先日の復興関係の参院中継を見た読者から、「まるで予算獲得の陳情合戦。いまの国会論議には政治哲学が欠けている」という意見が、この隣の声欄に寄せられていた。
未曽有の大災害の前には、与党も野党もない。みんなで力を合わせて難局をしのぐのだ。多くの国民はそう期待したが、そうはならなかった。
与党では内輪もめが起きて、首相が交代した。野党は政権を追い込むことに目の色を変えていた。そして、復興対策が遅れている。
これでは、「ダメ国会」の汚名を返上できるわけがない。
きょう、野田政権になって2度目の臨時国会が召集される。
復興対策の第3次補正予算案や、その財源確保のための増税法案、復興庁の設置法案などが主な課題になる。衆院の一票の格差を是正するための関連法案も控えている。
果たして、国会での審議はすすむのか。
新政権の「顔見せ」のようだった先月の18日間の国会とは違って、こんどは51日間の会期をとっている。それでも、早くも日程がきゅうくつだとの声が聞こえてくる。
補正予算案の提出が今月28日にずれこむうえに、復興増税の期間などをめぐり与野党の折り合いはついていないためだ。11月にはG20首脳会議など、首相が出向く国際会議も続く。
いずれは会期の延長も視野に入ってくるかもしれないが、ここはまず、与野党とも会期内に課題をこなすように努力してほしい。
なにも拙速に法案を成立させればいい、というのではない。ただ、閣僚の失言や国会運営の不備を理由に、野党が審議の日程を引き延ばすような駆け引きはもうやめよう。「55年体制の遺物」のような手法は、国会全体の評価を下げるだけだ。
とくに自民党は復興増税の中身について、水面下の事前折衝ではなく国会で議論したいといってきた。その通り、公の場で堂々と審議し、しっかりと結論を出せばいい。
もちろんそのためには、政府・与党側の誠実で丁寧な国会運営が欠かせない。野党が求めてきた、小沢一郎元民主党代表の国会での説明も速やかに実現するのが筋だ。
国会議員が信頼を取り戻すには、粛々と議論し、法律をつくって結果を示すしかない。
就任から日の浅い野田首相と玄葉外相が、国際会議を除く初めての外国訪問先として、そろって韓国を選んだ。
かけがえのない隣人同士であり、日本は韓国を重く見ている。そんなメッセージを送ることができたのはよかった。
世界は大きく動いている。なのに、前の菅政権の時期は外交の停滞が目についた。野田政権は多角的な外交をどんどん進めてほしい。
そういう意味では、今回の首相訪韓は上々のすべり出しだったといえるのではないか。
きのうの李明博大統領との会談で、経済や北朝鮮問題をはじめとして、日韓がさらに深い協力をすることを確認した。
首脳間の頻繁な行き来が大事だということでも一致した。今度は李大統領にできるだけ早く日本に来てもらいたい。
日本と韓国はいま、ライバルであるとともに、世界的な課題にともに取り組む間柄になっている。そのあり方を探るため、両国の有識者による第2期共同研究プロジェクト立ち上げに合意したのもいいことだ。
こうした課題にのぞむにあたって、ことに日本には、スピード感が求められよう。
たとえば植民統治時代に日本に持ってきた朝鮮王朝の図書を今回、韓国政府に引き渡したのはいいが、本来なら、「韓国併合100年」の節目だった昨年に渡しておけば、もっと喜ばれていたはずだ。
外国との自由貿易協定の戦略でも、日本は韓国に大きく後れをとっている。
日韓の間にもちろん、わだかまりも依然として少なくない。折にふれて竹島問題は火を噴くし、歴史認識や教科書をめぐっても、溝はなお深い。
大切なのは、ナショナリズムをあおって刺激しあうのではなく、とくに政治の世界で立場の違いを上手に管理することだ。
従軍慰安婦への個人補償の問題がいま改めて出ている。韓国政府は日本に協議を求め、日本政府は1965年の日韓協定で解決したとして拒んでいる。
ただ慰安婦などの問題は90年代あたりから浮上した。「65年時点ですべて解決済み」と単純に言いにくい側面があるのも事実だ。だからこそ、日本で官民協力の「アジア女性基金」の活動が行われもした。そんな背景は知っておかねばなるまい。
日韓を取り巻く東アジアは、中国の台頭や北朝鮮の不安定から、いわば動乱期にある。そして欧州経済の動揺は世界にどう及ぶのか。時代は賢い日韓の連携をますます求めている。