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大王製紙:元会長の巨額借り入れ 借入額100億円超す ラスベガスに口座

 総合製紙大手の大王製紙の井川意高(もとたか)元会長(47)が子会社から総額80億円超の資金を個人的に借り入れたとして辞任した問題で、元会長の借入総額が100億円を上回る見通しであることが同社関係者の話で分かった。また、借り入れのうち数億円は米国ラスベガスのホテルに開設された元会長の個人口座に直接入金されていたとみられることも判明した。

 元会長による巨額借り入れを巡っては、同社が9月に設置した特別調査委員会が今月下旬にも調査報告をまとめる方針。また、東京地検特捜部も会社法違反(特別背任)の疑いもあるとみて、同社側から任意で資料提出を受けるなど捜査に着手した模様だ。

 同社関係者によると、井川元会長は子会社7社から10年度に約23億5000万円、今年4~9月に約60億円の計83億5000万円を借り入れた(約30億円は9月までに返済)。特別調査委の調査などで、この借入金とは別に、関連子会社数社から10年度に、約22億円が別の関連会社を迂回(うかい)する形で元会長個人の口座に入金されていたという。

 元会長は借入先の子会社7社のいずれも会長を務めており、自身と近い同社社員を子会社の役員として派遣。借り入れる額を具体的に指定し「取締役などの対応はうまくやってくれ」などと電話で指示していた。

 子会社からの借り入れは、元会長が今年6月に会長に就任してから急増し、数億円がラスベガスの個人口座に入金されていたという。同社関係者は「カジノに使った可能性も否定できない」と指摘している。

 特別調査委が元会長を聴取できたのはわずか1回。元会長は使途について「株やFX(外国為替証拠金取引)で使った」などと話し、カジノについては「個人の資産でやった」などと釈明。特別調査委が証券会社の口座資料などを基に再度説明を求めたところ、元会長はその後聴取に応じなかった。このため同社側は調査報告の提出を受けた上で、刑事告訴を検討している。

毎日新聞 2011年10月18日 東京朝刊

 

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