東南アジアのタイの洪水では、現地に工場がある関西の企業の間にも被害が広がっています。奈良県の靴下のメーカーでは、現地の工場が操業できなくなり、対応に追われています。
タイの洪水では、中部のアユタヤやバンコク近郊の工業団地などに進出している、およそ430社の日系企業が被害を受けていて、関西の企業の間でも工場の操業ができなくなる被害が広がっています。奈良県大和高田市の靴下メーカーは、首都バンコクからおよそ30キロ離れた工場で、周囲の道路が水につかるなどしたため、14日から操業できなくなっています。本社では、毎日、工場の写真をメールで受け取るとともに、電話で状況を確認していますが、19日になって「浸水しそうだ」と電話が現地から入り、工場から避難するよう指示していました。1か月に30万足を作るこの工場の操業停止に加え、靴下の材料となる糸を調達しているタイの工場にも被害が出ており、会社では、春物の靴下の生産に遅れが出る見込みだということです。「梅田メリヤス工場」の梅田勝玄社長は、「浸水するような地域ではないので、驚いています。いつ水がひくか予測できないので、どうすることもできず、困っています」と話していました。奈良県の靴下は生産量が全国一で、シェアのおよそ40%を占めていて、タイの洪水被害の影響は、関西の地場産業にまで及んでいます。