韓国と中国が、年末にも両国間の自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉の開始を宣言する可能性が高まっている。
中国・北京の外交筋は19日「農産物などセンシティブな品目に対する実務レベルでの予備協議が終了し、年内にも韓中FTAの交渉開始宣言が見込まれる」と述べた。韓国外交通商部(省に相当)関係者も可能性を否定していない。
両国は昨年から本交渉開始に先立ち、センシティブな品目に対する予備協議を進めてきた。韓国は農産物と一部製造業分野、中国は石油化学、自動車などをセンシティブ品目に分類し、開放除外または開放時期の先送りの対象とすることで意見が一致したもようだ。FTA交渉の開始宣言には、公聴会、対外経済長官会議(閣僚会議)による議決などの手続きが必要となる。
外交通商部によると、昨年の韓中間の貿易総額は1884億ドルで、韓米間の貿易総額(902億ドル)の2倍を超える。数字の上では、韓中FTAの波及効果は韓米FTAの2倍ということになる。
韓中両国は2005年から2年間にわたり、FTAに関する民間研究を実施した。中国はそれに基づき、両国の政府幹部が会うたびに、交渉開始を提案している。韓国政府も韓中FTAが全体的には経済にプラスになると判断、韓米FTAの発効を前後し、韓中FTAの交渉を開始する戦略を立ててきた。
対外経済政策研究院は、韓中FTAが発効すれば、国内総生産(GDP)が2.3%増加する効果をもたらすとの研究結果を示している。低価格の完成品や農水産物の輸入が増え、中小企業や農漁業への影響が予想されるが、韓国側では高級製品と中間財、部品の輸出が増え、貿易黒字が伸びるとの見方が有力だ。
また、透明性を欠くといわれる韓中間の貿易関係がFTAによって世界基準に近づくことを期待する声もある。韓国政府の関係者は、韓中FTAをきっかけとして、来年で国交正常化20周年を迎える韓中関係がさらに緊密化するとみている。外交通商部の関係者は「韓米FTAが同盟関係の強化に寄与するように、韓中関係もFTAで新たな発展の契機を迎えることになるだろう」と述べた。
両国関係が経済的にさらに緊密化すれば、韓国と北朝鮮のバランスを保とうとする中国の立場に影響を与え得るとの分析も聞かれる。韓中FTAは北朝鮮の閉ざされた扉を開く役割も期待されている。
しかし、年内に韓中FTAの交渉開始が宣言されたとしても、発効までには相当の難航が予想される。農漁業界や中小企業など韓中FTAで被害を受ける分野では、韓米FTA交渉の際よりも強い反発が見込まれる。