スマホ狙うウイルス増加 対策検討
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スマホ狙うウイルス増加 対策検討

10月19日 18時32分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

急速に普及している多機能携帯電話「スマートフォン」を狙ったウイルスが相次いで見つかっており、放置すればパソコンのようにウイルスがまん延して、被害が広がるおそれがあるとして、総務省の研究会は年内をめどに対策をまとめることになりました。

総務省の研究会には、携帯電話会社や端末メーカーなどが参加し、19日初会合が行われました。スマートフォンは世界共通の基本ソフトが使われているため、従来の携帯電話と比べて、海外のウイルスが入ってきやすいことや、「アプリ」と呼ばれるソフトを端末に取り込むことなどからウイルスに感染しやすいとされています。独立行政法人情報処理推進機構によりますと、国内では、ことしに入って、アンドロイドと呼ばれる基本ソフトを搭載した端末を狙ったウイルスが、130余り見つかっており、このところ増加しています。ウイルスに感染すると、通話履歴などの個人情報や、現在の居場所を示す位置情報が盗み取られたり、スマートフォンについているカメラが知らない間に遠隔操作されたりするおそれがあり、感染しても持ち主が気付かない場合が多いということです。これまでのところ、深刻な被害は出ていませんが、放置すればパソコンのようにウイルスがまん延して、被害が広がるおそれがあるとして、研究会では年内をめどに当面の対策についてまとめることになりました。具体的には、アプリに関わる企業が協力して、不正なアプリが流通しない仕組みを作ることや、利用者にウイルス対策ソフトを導入することなどを呼びかけるガイドラインを作ることが検討される予定です。

スマートフォンを対象としたウイルスのうち、特に危険が指摘されているのは「ボット型」と呼ばれる種類です。この種のウイルスは、不正な改造を施されるなどした、いわゆる「海賊版」のアプリやメールに添付されているアプリに紛れ込んでいて、端末にアプリを取り込むだけでウイルスに感染します。感染した端末は外部のパソコンなどから遠隔操作できるようになり、事実上、ウイルスを流した側に端末が乗っ取られてしまいます。これにより、アドレス帳や通話の履歴、ネットの接続先の履歴など端末に保存されている情報を読み取られてしまうほか、遠隔操作でその端末から電話をかけ周辺の音を拾う盗聴器のように使われたり、GPSの位置情報が読み取られて利用者がいる場所も筒抜けになってしまったりします。総務省の研究会のメンバーで、情報セキュリティ会社の西本逸郎取締役は「スマートフォンのウイルスはもし感染しても利用者はほとんど気づかない。何も対策しないままだと、大量の端末が故障するなどの被害が出るおそれもあり、国や関係する企業などが連携して対策を検討していく必要がある」と話しています。そのうえで、スマートフォンへのウイルス感染を防ぐ具体的な対策としては、携帯電話会社などが運営し、ウイルスが含まれていないか検査している信頼性の高いサイトからアプリを取り込むこと、ウイルスを検知する対策ソフトを利用することなどが有効だと指摘しています。

携帯電話各社は、スマートフォン向けのウイルス対策ソフトを提供するなどして、個人情報の流出など被害の防止策に乗り出しています。このうち、NTTドコモはグーグルの基本ソフト「アンドロイド」を搭載した端末向けにウイルス対策のソフトを無料で配布しています。対策ソフトを利用すると、端末がウイルスに感染しているかどうかが分かるほか、ウィルスが含まれるおそれがあるアプリを取り込もうとすると注意を促す表示が出され、感染を防ぐことができます。また、ソフトバンクは同様のウイルス対策ソフトを有料で提供しているほか、KDDIはウイルス対策に加えて、端末を紛失した場合に遠隔操作で情報流出を防ぐ有料のサービスを来月から開始する予定です。一方、アップルは、人気機種のiPhone(アイフォーン)のアプリを配布するサイトでは、ウイルスの有無を厳しくチェックしているため、これまでウイルスに感染した事例は報告されていないとしています。ただ、総務省では、端末が不正に改造されるケースなどもあることから、感染のおそれは完全には排除できないとして、すべての機種を対象に検討することにしています。