東日本大震災:巨大津波6000年で6回 地層に痕跡

2011年8月21日 20時14分 更新:8月21日 20時31分

計6回の巨大津波の痕跡が残るとみられる地層について説明する平川一臣・北海道大学特任教授。石や砂はそれぞれの津波で海から運ばれ、堆積したという=宮城県気仙沼市で2011年8月20日、丸山博撮影
計6回の巨大津波の痕跡が残るとみられる地層について説明する平川一臣・北海道大学特任教授。石や砂はそれぞれの津波で海から運ばれ、堆積したという=宮城県気仙沼市で2011年8月20日、丸山博撮影

 東日本大震災で甚大な津波被害を受けた宮城県気仙沼市の海岸で、過去6000年に少なくとも6回の巨大津波の痕跡が残る露出地層を、北海道大の平川一臣・特任教授(自然地理学)らの研究チームが発見した。三陸沿岸を襲う巨大津波の周期性の解明につながる重要な成果と言えそうだ。

 4月に、同市本吉町大谷海岸の切り立った高さ約3メートルのがけで、腐食した植物などが堆積(たいせき)した「泥炭層」の間に、津波で打ち上げられたとみられる海岸の石や砂で構成する六つの層を確認した。東日本大震災の津波調査で訪れ、見つけたという。

 平川特任教授によると、最下層の真上に約5400年前の十和田火山噴火時とみられる火山灰が含まれており、泥炭層の厚さや有史以降の記録から、過去3回の津波を▽慶長の三陸沖地震(1611年)▽貞観(じょうがん)地震(869年)▽約2000年前と推定。それ以前は約1000年間隔とみている。今後、各層の試料の年代推定から時期を精査する。

 現場のがけは波に削られて6000年間で500メートル近く後退した。三陸沿岸は度々津波に襲われたが、がけを乗り越えた巨大な津波だけが「選別」されて地層となったらしい。東日本大震災での津波高は約13メートルだった。

 平川特任教授は「いずれも大震災に匹敵するマグニチュード(M)9級の超巨大地震だった可能性がある。巨大津波の痕跡を探すには今回のような高い場所での調査が重要だと言える。全国の沿岸でも調べるべきだ」と話す。【八田浩輔】

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