第64回新聞大会(日本新聞協会主催)が18日午後、京都市東山区のホテルで始まった。協会加盟社の代表ら530人が参加。東日本大震災を受けて大会初の「特別決議」と、「大会決議」を採択した。
特別決議では、被災地で多くの人が新聞で情報を得ようとしたことを踏まえ、「新聞を必要とする読者のために、紙面を作り、印刷し、配達する」との原点を改めて確認し、社会の公器としての責務を果たすことを誓った。大会決議は「国難の時代に公共的な使命を心に刻み、信頼されるメディアであり続けるために全力を尽くす」とした。
式典では、秋山耿太郎会長(朝日新聞社社長)のあいさつの後、毎日新聞社元社長の小池唯夫氏への新聞文化賞の贈呈、新聞協会賞の表彰が行われた。
今年度の協会賞は、毎日新聞東京本社「大相撲八百長問題取材班」(代表・千代崎聖史社会部警視庁キャップ)と、同写真部の手塚耕一郎記者のほか、震災で被災しながらも地元住民に密着した報道を続けた岩手日報社(岩手県)の東日本大震災取材班(2件)、河北新報社(宮城県)編集局など編集部門6件、経営・業務部門1件、技術部門1件の計8件6社。
大相撲八百長問題取材班は、力士の携帯電話に八百長をうかがわせる多数のメールが記録されていることをスクープ。角界の改革につなげた。手塚記者は、大津波襲来の瞬間を新聞社で唯一、空撮した。写真は共同通信社を通じて世界に配信され、被害の大きさを知らせた。毎日新聞の編集部門での受賞は2年ぶり25回目で、ダブル受賞は初めて。編集部門の受賞は計26件となり、最多記録を更新した。
新聞文化賞の小池氏は日本新聞協会会長を4年間務め、NIE(教育に新聞を)活動の充実に尽力するなどの貢献を評価された。【堀智行】
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日本経済は慢性的な財政危機を脱することができず、国内産業が疲弊するなか、戦後最高の円高に苦しめられている。東日本大震災と福島第1原発事故がもたらした甚大な被害は、国中を大きな不安で満たした。人々は日々の生活と将来に希望が持てないでいる。
われわれは、この国難に際し、ジャーナリズムの公共的な使命を心に深く刻み、政治、経済、環境など多角的な視点から、日本が進むべき道を読者に提示し、未来への展望を切り開いていかねばならない。
今後も読者に寄り添い、人々から信頼されるメディアであり続けるよう全力を尽くすことを誓う。
毎日新聞 2011年10月18日 大阪夕刊