慰安婦:韓国政府、国連総会で日本に圧力

日本「法的に解決済み」

 韓国政府は今月11日の国連総会で、従軍慰安婦問題をめぐる日本の謝罪と賠償を求めた。これまでも、国連人権委員会(スイス・ジュネーブ)などで慰安婦問題が扱われたことはあるが、韓国政府が国連総会の場で慰安婦(comfort women)という単語を用い、日本に圧力を掛けたのは、1997年以来14年ぶりのことだ。

 シン・ドンイク国連次席大使は11日、米国ニューヨークの国連本部で行われた第66回国連総会第3委員会の「女性の地位向上」をめぐる討議の中で「武力紛争の下で行われた性暴力の問題、とりわけ第二次世界大戦当時の従軍慰安婦などを含む組織的な性暴力・性奴隷の問題の深刻さに対し、深い憂慮の念を表する。これは戦争犯罪であり、人道に反する罪に該当する」という内容の声明を発表した。

 声明ではまた「戦時下の性暴力の問題は、過去の歴史が沈黙してきた問題だけにとどまらず、現代における最も残酷な形態の人権侵害の一つだ。韓国政府はこのような観点から、全ての(国連)加盟国が犠牲者に対する実効的な救済措置や賠償、加害者に対する法の審判を通じ、こうした問題が根絶されるよう取り組むことを求める」と主張した。

 比較的強い表現を盛り込んだ韓国政府の声明は、今年8月に憲法裁判所が「元慰安婦に対する賠償問題の解決に向け、国家が取り組まないのは違憲だ」という判決を下したのを受け作成された。国連韓国代表部の関係者は「日本政府に対し、従軍慰安婦問題をめぐって謝罪や賠償を求める韓国政府の方針を、国際社会を通じて再確認するとともに、慰安婦問題をめぐる2カ国協議の提案を受け入れない日本政府に対し、多国間外交の場で圧力を掛けるための措置だ」と話した。

 韓国政府による声明発表の直後、日本の児玉和夫・国連次席大使は「第2次大戦中の性奴隷被害者に対する賠償問題は、サンフランシスコ講和条約やその後の(日韓)2カ国間の協定により、法的な面ですでに解決済みだ」という日本政府のこれまでの主張を繰り返した。

ニューヨーク= キム・シンヨン特派員
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