1897年10月12日、朝鮮王朝第26代国王・高宗は皇帝への即位式を行い、翌日に韓国初の独立した近代国家「大韓帝国」の樹立を宣言した。
国の任命状や印章を作成する「宝冊造成所」はこの日から、即位式に使われた冊宝(任命状と印章)を圜丘壇(祭祀〈さいし〉を行う場所)へ運ぶ様子を描いた班次図(国の行事の場面を描いた絵)や、香木と冊宝を載せる金色のかご、即位式の経緯を細かく記録した9冊からなる「大礼儀軌」を作成した。
この「大礼儀軌」のうち1冊は、1922年に日本へ渡った。朝鮮総督府が日本の宮内庁に寄贈するという形だった。この「大礼儀軌(五台山本)」が今月18日に帰ってくる。この日来韓する野田佳彦首相が持参することになった。
韓国政府の関係者は16日「野田首相が韓日両国の友好ムード醸成の一環として、日本が引き渡しを約束した図書1205冊のうち、高宗が行った儀式の様子を描いた『大礼儀軌』のほか、大韓帝国第2代皇帝・純宗が皇太子時代に挙げた結婚式の様子を記録した『王世子嘉礼(かれい)都監儀軌(上・下)』2冊、朝鮮王朝第22代国王・正祖の文集『弘斎全書』2冊の計5冊を、18日の来韓時に直接引き渡す意向だ」と説明した。
野田首相は18日、「大礼儀軌」など5冊を持参して京畿道城南市のソウル空港に到着し、すぐに大統領府で伝達式を行う予定だという。日本側が「大礼儀軌」など5冊を選んだのは、韓国政府の立場を最大限反映した結果とのことだ。
「朝鮮王室儀軌」(朝鮮王朝時代、王室や国家の重要な行事の内容を絵と文章で整理した書物)の返還運動を繰り広げてきたヘムン師は「首相が『大礼儀軌』を(謝罪の意味で)直接持参するというのは、象徴的な意味が極めて大きい」と話した。