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オリンパス、3社買収で巨額減損処理 市場は疑問視
09年3月期に557億円

2011/10/19 20:30
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 オリンパスは19日、2006年から08年にかけて実施した国内3社の買収に伴う財務情報を開示した。買収総額は734億円で、このうち7割強に当たる557億円を09年3月期に減損処理した。同社は買収目的を「新規事業の育成」と説明しているが、3社の事業はオリンパスの本業である内視鏡やデジタルカメラと関連が薄いうえ、財務悪化にもつながった。

オリンパスが買収した国内3社の概要と減損処理
会社名
(住所)
資本金主な事業買収額
減損額
アルティス
(東京都港区麻布台)
488油化プラントを核にした資源リサイクルなど28,812
19,614
NEWS CHEF
(東京都港区麻布台)
499調理品の製造・販売、食品容器の製造・販売など21,408
17,699
ヒューマラボ
(東京都港区麻布台)
439健康食品や化粧品の販売など23,199
18,370

(注)単位百万円

 マイケル・ウッドフォード前社長が経営陣に出した文書に基づく報道が広がっており、情報開示を決めた。同氏は14日に解任される直前、「この3社に企業価値より高すぎる金額を払った」と菊川剛会長(現・会長兼社長)に指摘したという。

 3社のうち、アルティス(東京・港)は注射筒などのプラスチック製品を油に再資源化するプラントを運営。NEWS CHEF(同)は食品容器の製造など、ヒューマラボ(同)は化粧品などの販売を手掛ける。

 オリンパスが各社をどの株主から買収したかは「先方の許可がないので公表できない」(広報・IR室)と回答を避けた。決算公告などによると、11年3月期の3社合計の売上高は17億円程度、営業赤字は20億円以上と業績は低迷している。

 同社は英医療機器メーカー、ジャイラス買収で支払った手数料に優先株買い取りを加えた計6億8700万ドル(当時のレートで約690億円)と併せ、557億円の減損処理を正当と主張するが、規模の大きい損失や支出が「財務悪化を招いた」(JPモルガン証券の森山久史アナリスト)との指摘もある。

 国内3社では買収時に発生した「のれん」で減損処理が必要になった。19日に初めて開示した各社の減損額はアルティス196億円、ヒューマラボ184億円、NEWS CHEF177億円。09年3月期にはのれんの減損処理で合計762億円の特別損失を計上したが、約7割が3社分。オリンパスは「3社の今後の減損リスクはほぼなく、毎年ののれんの償却額もわずか」としている。

 ジャイラス買収でファイナンシャルアドバイザー(FA)に払った報酬額などは約690億円だった。これらはすべてのれん計上し、買収コストも含めた2000億円強ののれんを20年の均等償却で処理している。

 オリンパスは多額の赤字などで自己資本比率が08年3月末の26%強から09年3月末に15%弱に低下。ジャイラス買収に伴うのれんの償却も毎期100億円程度の負担だ。

 19日もオリンパス株には売り圧力が続いた。終値は前日比28円(2%)安の1389円で、売買代金は4日連続で東証1部首位。ウッドフォード氏の解任発表後の株価下落率は44%に達した。

 JPモルガン証券やゴールドマン・サックス証券などが「合理的な評価は困難」として、19日までに目標株価と業績予想の公表を停止した。

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