埼玉県産の狭山茶について、県は19日、1081銘柄の放射性セシウム検査の結果、97銘柄から国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を上回る2063~504ベクレルを検出したと発表した。既に7440キロが販売されており、県は回収と廃棄を業者に要請した。県が9月以降行った検査で、全1446銘柄のうち規制値超えは7.7%の111銘柄となった。今年は販売しないなどの理由で、140業者が県による検査を受けていないが、県は「全銘柄検査はひとまず終了」としている。
県のまとめによると、1446銘柄中、放射性セシウムがたまりやすい「若芽・早摘み」の検査では、365銘柄のうち14銘柄で規制値を上回った。また、国の抜き打ち検査などで5銘柄の規制値超えが確認された。規制値を下回った銘柄は「検査済」のシールが張られ、出荷・販売自粛が順次解除されている。
全銘柄検査が区切りを迎えたことについて、県内の70代の茶業者は「今年の売り上げは例年の2割にとどまっている。区切りがついたといってもこの先どうなるか。例年ならお歳暮用に売れ出す時期。なんとか早く売り上げが回復してほしい」と懸念を語った。【大谷津統一、平川昌範】
田上恵子・放射線医学総合研究所放射線防護研究センター主任研究員の話 1年間の1人当たりの製茶消費量が1キロに満たないことを考えると、仮に暫定規制値を超えたお茶を飲用していても健康に影響のあるレベルではない。さらにお湯で抽出される放射性セシウムは製茶に含まれる量の5~6割程度なので、飲用される量はより低くなる。自分が飲んでいる銘柄のお茶に含まれる濃度や、どれぐらい飲んだのかを確認するなどして、落ち着いて対処してほしい。
毎日新聞 2011年10月19日 21時53分