相撲協会、春日野親方を厳重注意 デーモン閣下「体罰の程度のコンセンサスとれれば」
大相撲の春日野親方が、3人の弟子に対し、生活指導の一環として、ゴルフクラブで殴っていたことが明らかになった。
19日午後0時すぎの会見で、春日野親方は「教育の一環とはいえ、ちょっとやりすぎたところはありました」と語った。
一方で、放駒理事長は「教育の一環であったとしても、ゴルフクラブでたたいたということは、あまりにも行き過ぎだ」と語った。
10月14日、春日野親方が部屋に所属する栃ノ心ら3人の力士に対し、「外出時に浴衣を着ていなかった」、「門限を破った」との理由で、ゴルフクラブで殴るなどの暴行を加えていたという。
春日野親方は「1人に至っては、稽古をしていなかったんです。服装を注意したにもかかわらず、そういうことをしたと。門限も当然、破った。がっかりしたというか、怒りよりも、そっちの方が多かった。それで、暴力に至ったということになるのもしれない」と語った。
問題が明るみに出た発端は、マスコミに送られた匿名のFAXだった。
このFAXには、「クラブが折れるまで殴り続ける」、「殺人未遂」などの文字があった。
さらに、相撲協会には、「この2〜3日、師匠が弟子を殴り、1人は弟子を病院に連れて行かず、栃矢鋪、栃飛龍はほったらかされている。わたしも気が気でない。2人目の被害者、死亡者が出るかもしれない。師匠本人は、もみ消そうと必死になっている」という告発の電話があった。
しかし、警察の捜査では、力士たちに外傷はなく、命にかかわるほどの状態ではなかった。
栃矢鋪は「(けがの具合は?)けがはしていないです。まったくしていないです」と話した。
くしくも、10月5日には、相撲協会の研修会で、力士の外出時の服装に関する注意が出ていたばかりだった。
しかし、服装の乱れを正すにせよ、指導に行き過ぎはなかったのか。
親方によれば、素手やゴルフのアイアンクラブの持ち手の部分で殴ったと説明。
春日野親方は「(なぜゴルフクラブで?)近くにあったので」と語った。
4年前の2007年、時津風部屋の力士が、親方や兄弟子から暴行を加えられ死亡する事件が発生した。
暴行には、ビール瓶や金属バットなどが使われた。
このあと、協会では再発防止策として、竹刀などの器具を稽古で使用しないことを決め、再発防止検討会を設立。
委員を務めたやくみつるさんは、「さすがに、ゴルフクラブは非常にまずかったと思います。日ごろから、厳しく指導して、親方がペナルティー、それは、体罰ではなくて、本場所出さないぞとか、そういう指導があっていいと思う」と語った。
相撲にくわしいデーモン閣下は、「体罰を抜きにして、相撲の世界で指導していくのは難しいでしょう。その体罰の程度をどのくらいにおさめるべきかということを、みんなで共通認識、コンセンサス(意見の一致)がとれた状態が望ましいと、我が輩は思っている」と語った。
今回の問題で、弟子3人は「規則を破って殴られた。親方を訴えるつもりはない」と話していて、被害届は出さない方針。
警視庁も、事件化するつもりはないとしている。
19日に行われた臨時理事会では、春日野親方に厳重注意を行った。
春日野親方は「(今回の問題を受けて、弟子と約束したことがあると?)もう、げんこつは入れないと言いました」と語った。
(10/19 18:06)