インターネットを利用した「ネットバンキング」で、東京の会社の口座から別の口座に不正に送金された現金を引き出したとして、中国人の男が詐欺の疑いで逮捕されました。会社の社長のパソコンは、内部の情報を抜き取る性質のウイルスに感染した形跡があり、警視庁は、何者かがネットバンキングのIDとパスワードを盗み出し、不正に送金していたとみて捜査しています。
逮捕されたのは、東京・葛飾区のアルバイトで中国人の薛章文容疑者(51)です。警視庁の調べによりますと、薛容疑者は、ことし8月下旬、東京の八千代銀行に開設された渋谷区の会社の口座から、ネットバンキングで別の口座に不正に送金された現金10万円を引き出したとして、詐欺の疑いが持たれています。同じ日に会社の口座からは、4つの口座に合わせて500万円が送金されていて、薛容疑者はこのうちの1つの口座から現金を引き出していたほか、何者かが別の口座から50万円を引き出していたということです。これまでの調べで、被害にあった会社の社長のパソコンは、内部の情報を抜き取る性質のウイルスに感染した形跡があるということで、警視庁は、何者かがネットバンキングのIDとパスワードを盗み出し不正な送金をしていたとみて調べています。調べに対し、薛容疑者は「金は下ろしたが、親戚の中国人の男に頼まれただけだ」と容疑を否認しているということです。