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原発事故対応に課題 日立の中西宏明社長に聞く
 | 震災復興に向けた施策などを語る中西社長=18日、仙台市内 |
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日立製作所の中西宏明社長は18日、同社主催の震災復興支援イベント出席のため訪れた仙台市で、河北新報社の単独インタビューに応じた。メーカーの立場で関わる福島第1原発事故について「緊急事態の対応に課題があった」とし、完全収束に向け長期的に支援する方針を説明した。震災復興策では次世代型都市「スマートシティー」の導入などを提案した。 ―震災で日立グループが提供する社会インフラを含め、多くの被害が出た。 「(日立が復旧作業に関わった)東北新幹線をはじめ全体的にインフラ復旧は早かった。ただ原発事故やその後の電力不足を含め、日本社会のもろい部分も出た」 ―原発事故はメーカーとして当事者でもある。 「緊急事態の対応がシステマチックではなかったと反省している。メーカーだけでは対応は難しい。東京電力、国も含めて今後改善すべき課題だ」 「原発事故の完全な収束には少なくとも10年を要する。(震災直後から取り組む)技術者の派遣などを通じて中長期で支援を続ける」 ―復興に向け東北が生かすべきだと思う点は。 「東北大をはじめ電気通信分野での研究拠点を多く持つ。知のポテンシャルは非常に高い」 ―東北の自治体に電力や交通、水道など社会インフラをパッケージ化したスマートシティーの導入を提案している。 「仙台市をはじめ岩手、宮城、福島3県の10を超す自治体に、それぞれの特性を生かすアイデアを提案中だ。半導体産業が集積する地域など東北には強みがある。例えば仙台は(情報技術で制御する)情報都市になることで、国内外から学生や研究者を呼び込める」 ―他の復興策は。 「あくまでアイデア段階だが、JR東日本などには『三陸沿岸の鉄道に沿って路面電車を走らせてはどうか』と提案している。道路も線路も共に復旧でき、コストを抑えられる。住民の利便性も考えると、路面電車もあり得るのではないか」
<なかにし・ひろあき>東大卒。70年日立製作所入社。北米総代表、副社長などを経て10年4月から執行役社長。横浜市出身。65歳。
2011年10月19日水曜日
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